終わりがみえない「値上げラッシュ」。ため息をつきつつも、どこか「値上げ」に慣れてきた感もあります。一方で低収入であえぐ人たちにとっては、わずかな値上げも死活問題。たとえば正社員に比べて低収入の傾向にある非正規社員。特にキャリアを十分に積むことができず正社員になりたくてもなれないという40~50代は、貧困状態から抜け出せずにいる人が多くいます。みていきましょう。
月収16万円・40代非正規社員の悲鳴「もう、どうにもならない」…20万人の「貧困・氷河期世代」が再び忘却の危機

50代手前で非正規…低収入で生活保護の申請も目前に

帝国データバンクによると、この7月、価格を変えずに内容量を減らす「実質値上げ」も含めて3,566品目もの商品が値上げとなるそうです。たとえばパン。昨年の夏前、食パン1kgあたり450円程度から480円程度へと10%近くも値上げ。その後、一定の価格水準を保ってきましたが、大手パンメーカーは2~12%程度の値上げを発表しています。

 

外食では、日本マクドナルドが都心の一部の店舗で値上げを発表。さらに全国2,000以上の店舗で展開するデリバリーサービスでも、ハンバーガーが220円から240円に、チーズバーガーが250円から280円にと、大半の商品を値上げするとしています。

 

来月以降も乳製品、酒類など、3,000以上の商品の値上げが示唆されており、今年1年間の食品・飲料の値上げは3.5万品目程度です。昨年1年間の品目数を上回るという試算もあります。

 

一方で、大手企業を中心に賃金が上昇していることもあるのでしょうか。最近は「値上げ慣れ」が広がり、以前ほど騒がれなくなりました。その影響もあり価格転嫁が加速。値上げ品目が昨年以上という結果につながっています。

 

しかし世間がどんなに値上げに慣れたとしても、低収入の人には死活問題。

 

――月収16万円、もうどうにもならない。生活保護を申請するしかない

 

そう呟くのは、40代も後半、非正規社員だという男性。一部、今回の賃上げブームはパートやアルバイトなどの非正規社員にも波及したという報道もありましたが、それはほんの一部。賃上げのニュースをどこか遠い外国の話のように聞いていたと話します。

 

先日も、大手企業の夏のボーナスが1人従業員アタリ95万6,027円と前年から3.91%増え、2年連続の増加となったことがニュースになりましたが、遠い世界の話過ぎて、もはや羨ましいと思うこともなくなったとか。男性に限らず、苦しい台所事情を嘆く声は巷に溢れています。

 

月収16万円ということは、手取りは13万円程度になると考えられます。仮に東京都23区に住んでいるとしたら、生活保護の基準となる「最低生活費」は13万0,940円(生活扶助基準額:7万7,240円、住宅扶助基準額:5万3,700円)。文字通り最低限度の生活を送る為の最低限の生活費である「最低生活費」。男性は、まさにその間にいます。