終わりがみえない「値上げラッシュ」。ため息をつきつつも、どこか「値上げ」に慣れてきた感もあります。一方で低収入であえぐ人たちにとっては、わずかな値上げも死活問題。たとえば正社員に比べて低収入の傾向にある非正規社員。特にキャリアを十分に積むことができず正社員になりたくてもなれないという40~50代は、貧困状態から抜け出せずにいる人が多くいます。みていきましょう。
月収16万円・40代非正規社員の悲鳴「もう、どうにもならない」…20万人の「貧困・氷河期世代」が再び忘却の危機

政府は30万人の非正規・氷河期世代の正社員化を掲げているが…

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、男性正社員(雇用期間の定めなし/平均年齢43.2歳)の平均給与は39.1万円、賞与も含めた年収は583.9万円です。一方で、男性非正規社員(雇用期間の定めなし/平均年齢50.5歳)の平均給与は23.5万円、平均年収は328.7万円。非正規社員は正社員の56%の給与に留まっています。

 

20代。非正規社員の給与は正社員の7~8割程度でしたが、年齢を重ねるごとにその差は拡大。50代前半では47.3%と半数を下回ります。さらに給与分布をみていくと、非正規社員の月収の中央値は21.5万円。上位25%で26.2万円、上位10%で33.3万円、下位25%で18.万円、下位10%で15.8%万円。男性は非正規社員の中でも下の下という給与水準です。

 

男性が自発的に非正規社員なのか、それともやむを得ず非正規社員なのか分かりませんが、給与水準としてはかなり悲惨なポジションにいることが分かります。

 

40代後半、非正規社員といえば、世代としては氷河期世代。学卒時の求人が少なく、特に酷かった2000年ごろには、大学卒の有効求人倍率でさえ1.0を下回りました。仕方なくパートやアルバイトなど、非正規として社会に出る大卒者たち。雇用環境がよくなったタイミングで正社員になれた人もいれば、その波に乗れずに現在に至る人も珍しくありません。十分なキャリア形成ができずにいるため、正社員になることが困難な状態が続いています。

 

内閣府『就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料』によると、氷河期世代のうち、非正規社員は約371万人。そのうち正社員を希望している人の数は約50万人だといいます。一方で同プログラムでは30万人の正規社員化を目指していました。そこにはすでに20万人の乖離が生じています。

 

最近は、異次元の少子化対策がクローズアップされ、一時、よく耳にした氷河期世代・非正規社員の問題は、影をひそめている様子。現役世代の貧困問題。数としてはかなりの少数派のため、再び忘れさられる危機にあるといえます。