さまざまな事情で収入が足りず「とても生活していけない……」そんなときのセーフティネットが生活保護制度です。その内訳をみると、圧倒的に多いのが高齢者。そこには、年金をもらいながら悠々自適に暮らす、という世界はどこにもありません。みていきましょう。
年金月14万円で貯蓄なし…65歳高齢者、平均でも「生活保護以下」という辛い現実「どう、生きていけばいいのか」

50人に1人の高齢者が「生活保護」を受けている

厚生労働省『被保護者調査』によると、2023年3月次点で、生活保護を受けている人は全国で202万7,865人、164万7,341世帯でした。日本の世帯数は5,340万世帯といわれているので、全世帯の3%、100世帯が入るマンションがあれば、そのうち3世帯は生活保護を受けていることになります。また生活保護の申請があったのは2万4,493件。生活保護が開始されたのは2万2,190世帯でした。

 

生活保護は、国民の生存権を保障している日本国憲法第25条に基づいて健康で文化的な最低限度の生活を保障するために、経済的に困窮する人に対して国が給付を行う制度です。

 

生活保護には衣食や光熱水費などの基本的な生活費に対する「生活扶助」や、住居の費用に対する「住宅扶助」、義務教育期間の教育にかかる費用に対する「教育扶助」、介護保険給付の自己負担分が給付される「介護扶助」、怪我や病気の治療に必要な医療費に対する「医療扶助」など8種類の扶助があり、個々の条件を考慮した基準額が規定されています。

 

【生活保護「扶助種類別」】

生活扶助:178万3,434人

住宅扶助:174万2,709人

教育扶助:9万1,771人

介護扶助:42万4,705人

医療扶助:171万4,192人

その他の扶助:4万4,802人

 

出所:厚生労働省『被保護者調査』2023年3月

 

世帯の種別にみていくと「高齢者世帯」91万1,320世帯と、全体の55.6%を占めます。高齢者世帯のうち「単身世帯」は84万3,424世帯と9割以上がいわゆるおひとり様です。現在、日本の高齢者は3,600万人ほどとされていますから、高齢者の生活保護率は2.5%ほど。50人に1人が生活保護を受けている計算です。

 

一方、高齢者以外の世帯は72万8,451世世帯。そのうち「障害者・傷病者世帯」が全体の40万6,899世帯、「母子世帯」が6万5,021世帯で全体の4%ほどになります。