4.婚姻無効確認の訴えについて
(1)原告適格・被告適格
婚姻無効確認の訴えは、夫婦間で行われる場合は、夫婦の一方が原告となり、他方が被告となります。夫婦の一方が死亡しているときは、検察官が被告となります(人事訴訟法12条3項)。
また第三者が当事者となる場合は、夫婦双方が生存中は両名とも被告となり、一方が死亡しているときは他の一方、夫婦双方が死亡しているときは検察官が被告となります(人事訴訟法12条2項、同3項)。なお、第三者が婚姻の無効を確認するためには婚姻が無効であることにより自身に相続権が発生ないし相続分が増加するなどの事情が必要です。
(2)婚姻無効の原因
実際の婚姻無効確認訴訟では、婚姻無効の確認を求める原告が、民法742条各号所定の無効原因を主張立証する必要があります。民法742条1号の婚姻の意思とは、真に社会通念上夫婦であると認められる関係の設定を欲する効果意思を意味します(実質的意思)。
そのため婚姻が子に嫡出子としての地位を取得させるためになされた場合(最二小判昭和44年10月31日家月22巻3号57頁)や、婚姻が子に日本国籍を取得させるための便法に過ぎない場合(東京高裁判昭和60年2月27日家月37巻11号46頁)には、その婚姻は無効であるとするのが判例です。
また婚姻の意思に関する上記の判例の立場からは、本件のように事実婚関係にある男女間で、一方が他方の意思に基づかないで婚姻届けを作成提出した場合はやはり婚姻は無効ですが、後に他方の配偶者が届出の事実を追認したときは、婚姻は追認により有効となることには注意が必要です(最三小判昭和47年7月25日民集26巻6号1263頁)。
5.離婚無効確認の訴え
(1)原告適格・被告適格
離婚無効確認の訴えは、婚姻無効確認の訴えと同様に、夫婦であったものの間で行われる場合は、夫婦であった者の一方が原告となり、他方が被告となります。夫婦であった者の一方が死亡しているときは、検察官が被告となります(人事訴訟法12条3項)。
また第三者が当事者となる場合は、夫婦であった者の双方が生存中は両名とも被告となり、一方が死亡しているときは他の一方、夫婦であった者双方が死亡しているときは検察官が被告となります(人事訴訟法12条2項、同3項)。なお、第三者が離婚の無効を確認するためには離婚が無効であることにより自身に相続権が発生ないし相続分が増加するなどの事情が必要です。
(2)離婚無効の原因
離婚無効確認に関しては婚姻無効のような民法上の無効原因の規定はありませんが、判例は婚姻意思の解釈とは異なり、法律上の夫婦関係を解消する意思の合致があれば離婚届出が有効であるとする見解に立っており、離婚が何らかの目的達成のための方便としてなされた場合でも基本的に離婚届出は有効であると判断される傾向にあります(最二小判昭和57年3月26日判タ469号184頁)。
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