親が低学歴なら子も低学歴…貧困の連鎖が止まらない
絶対的貧困に比べて相対的貧困は見えづらいという現状があり、あまり注目されてきませんでした。だからこそ、問題は根深いといえるでしょう。
内閣府『令和3年 子供の生活状況調査』では、等価世帯収入の水準と親の婚姻状況別に保護者・子供の生活状況について分析しています。
それによると、「子どものいる家庭」における貧困率は12.9%(以下、該当する家庭を貧困家庭と記します)。貧困家庭に限ると、57.1%が「生活が苦しい(「生活が苦しい」と「生活が大変苦しい」の合計)」と回答。
ーー食べるものが買えなかった…37.7%
ーー衣服が買えなかった…45.8%
ーー光熱費が払えなかった…20.7%
「お腹空いた」と駄々をこねる子ども、「ごめんね、食べるものも買えないの」と謝る親……貧困家庭では、そんな経験をしているケースが多くあるのです
なぜ貧困家庭となってしまうのか。親の離婚や病気……ほかにも、親の学歴も貧困と密接に関わりがあります。同調査で親の学歴について尋ねると、「父母共に大学、またはそれ以上」が3.9%、「父母いずれかが、大学、またはそれ以上」が6.4%、「その他」が19.0%。明らかに学歴が高いほうが貧困率は下がる傾向にあります。
【親の学歴別「貧困家庭」の割合】
◆母親の学歴
中卒:40.6%
高卒:19.7%
短大・高専・専門学校卒:9.3%
大卒、またはそれ以上:4.6%
◆父親の学歴
中卒:33.3%
高卒:14.1%
短大・高専・専門学校卒:8.0%
大卒、またはそれ以上:5.3%
出所:内閣府『令和3年 子供の生活状況調査』より
親の学歴が問題なのは、子どもの学歴にも影響するから。子どもの進学について「大学、またはそれ以上」という回答は、等価世帯収入が「中央値以上」で64.3%、「中央値の2分の1以上~中央値」で38.1%、「貧困家庭」で28.0%。
十分な学歴を積むことのできなかった親が「俺らみたいになるなよ」と子どもには高い教育を受けさせ進学させる……もちろんそんな家庭もいるものの、その数は少数派。そもそも子どもの教育に興味が薄いということはもちろん、やはり教育にはお金がかかり、現実問題、進学させるのは無理という事情もあるでしょう。
学歴が低くても高収入の人も世の中にはいますが、確率的に低学歴=低収入の割合は多くなるもの。親の学歴が貧困を生み、それが子に連鎖していく……どこかで断ち切るためにも、貧困家庭への支援が望まれます。