働き盛りの人を襲う突然の不幸。「そんなことは絶対に起きない」とは誰もいえず、残される家族のためにも「万が一のこと」はきちんと考えておく必要があります。そこで遺族を支える公的年金である「遺族年金」について考えていきましょう。
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平均的なサラリーマンを襲う不幸…残された家族をサポートする「遺族年金」

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマン(平均年齢44.5歳)の平均給与は、月収(所定内給与)で34万2,000円、賞与も含めた年収は554万9,100円です。

 

この給与で十分なのか、不十分かはさておき、きっと幸せな家族のカタチがあるのでしょう。しかし、どんなに幸せな家族であろうと、突然の不幸は避けられません。そんなとき、残された家族はどうなるのでしょうか。

 

保険、貯蓄……万が一のことを見据えて、何かしら対策を講じている人も多いものですが、公的なサポートとして考えられるのが「遺族年金」。国民年金の被保険者等であった人が受給要件を満たしている場合に残された家族に支払われるのが「遺族基礎年金」、厚生年金保険の被保険者等であった人が受給要件を満たしている場合に残された家族が支払われるのが「遺族厚生年金」です。

 

遺族基礎年金の受給要件と受給対象者は以下の通り。

 

【亡くなった人の要件】

①国民年金の被保険者である間に死亡したとき

②国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき

③老齢基礎年金の受給権者であった方が死亡したとき

④老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※①および②の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。

※③および④の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。

 

【受給対象者】

死亡した人に生計を維持されていた①、または②。

①子のある配偶者

②子

*18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人

 

遺族厚生年金の受給要件と受給対象者は以下の通り。

 

【亡くなった人の要件】

①厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき

②厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき

③1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき

④老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき

⑤老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき

※①および②の要件については、死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要。ただし、死亡日が令和8年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよい。

※④および⑤の要件については、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。

 

【受給対象者】

死亡した人に生計を維持されていた以下①~⑥。

①妻*1

②子(18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)

③夫(死亡当時に55歳以上である人に限る)*2

④父母(死亡当時に55歳以上である人に限る)*3

⑤孫(18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)

⑥祖父母(死亡当時に55歳以上である方に限る)*3

*1:子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。

*2:受給開始は60歳からとなります。ただし遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できます。

*3:受給開始は60歳からとなります

 

つまりサラリーマンが亡くなった場合、その家族の形態により「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」を受け取れる可能性があります。