(※写真はイメージです/PIXTA)

「住みたい街ランキング」の常連といえる、東急東横線沿線。タワーマンションが立ち並ぶ「武蔵小杉」は、右肩上がりで人気が上昇してきました。しかし、2022年のランキングをみると第14位と、2018年の第6位から大きくランクを下げています。いったいなぜなのか、東急株式会社常務執行役員の東浦亮典氏が、武蔵小杉駅周辺の変遷と行く末を解説します。※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

老朽化・浸水被害からの再生で「住みたい街ムサコ」復活へ

それ以来、川崎市民がスポーツと文化を親しむ場所として永らく利用されてきましたが、多少駅から離れていることもあり、フロンターレの試合などイベントがある日以外は閑散としています。

 

施設の老朽化なども問題になっていましたが、特に影響があったのは、2019年の台風19号の甚大な浸水被害でした。等々力緑地内にある「川崎市民ミュージアム」が浸水し、収蔵品や設備系統にまで被害が及ぶなど、大変な被害を受けたことでした。

 

そういった経緯もあり、川崎市では民間資金等を活用した公共施設等の整備を実施するはこびとなり、2022年11月に東急を代表とする企業コンソーシアム「Todoroki Park and Link」が落札することに決定しました。

 

事業期間は2023年春からの約30年間。時間をかけて運動施設の新設、インクルーシブパークを含む広場空間などの整備、レインガーデン機能を有した親水空間づくり、飲食、物販施設などを順次整備します。

 

これが実現すれば、従来の施設が更新されるだけでなく、民間企業が提案する、時代に合った魅力ある施設が設置でき、多くの市民に親しまれる等々力緑地に全面リニューアルされることでしょう。

 

武蔵小杉エリアは、住宅情報誌「SUUMO」の「住みたい街ランキング」でもずっと右肩上がりで人気が上昇してきた街で、コロナ前の2018年には第6位にランキングされていました。

 

しかし、2019年10月にやってきた台風19号の大雨の影響により、内水氾濫が発生し、一部のタワーマンションが浸水によって電気設備が故障して、長時間停電になるなどの大きな被害を受けました。そうした防災面の脆弱性が露呈した影響もあったせいか、2022年の「住みたい街ランキング」ではベスト10圏外の第14位に大きくランクを下げています。

 

台風19号の被害をきっかけに自治体も住民も平時からの防災意識は格段に上がったと思います。これに加えて等々力緑地の再整備が完成すれば、武蔵小杉駅圏は再び人気スポットとなり、評価を上げていくことでしょう。

 

 

東浦 亮典

東急株式会社

常務執行役員

 

※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東浦 亮典

ワニブックス

東急電鉄に所属していた2018年に、前作『私鉄3.0』で「電車に乗らなくても儲かる私鉄の未来」を提言した東浦亮典氏。あれから4年、電鉄業界はコロナというこれまでにないパンデミックに見舞われた。テレワークの普及で働き方が…

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