(※写真はイメージです/PIXTA)

相続人の中に外国居住者がいる場合の遺産分割はどうなるのでしょうか。また、外国居住者の場合、連絡が取れないということもありえるため、相続手続きは煩雑になる可能性が高いです。そこで本記事では、実務に精通した弁護士陣による著書『依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務』(ぎょうせい)より、相続人のなかに連絡を取れない人、外国居住者がいる場合の遺産分割方法について解説します。

6.どうしても相続人と連絡が取れない場合には?

「不在者財産管理人制度」の申立てを活用

相続人と全く連絡がとれない場合には、不在者財産管理人の選任の申立てをすることも視野にいれましょう。

 

申立てをするに当たって、どの程度までの調査をすれば足りるかは一概に基準があるわけでは無いですが、まずは最後の住所に手紙を出してみる、インターネット検索をしてみる、出入国履歴をとってみる、外国の弁護士と協働調査を行ってみる等行うことのできる調査を行ってみましょう。

7.外国に居住する相続人への説明の工夫

外国に居住する相続人と連絡がとれた場合であっても、相続人が日本の相続の制度を全く知らない場合もあります。その場合、日本の相続の制度(遺言が無い場合には法定相続となること、積極財産のみならず消極財産をも相続する包括承継であること、遺産分割を行うに当たっては相続人全員が参加する必要があること)等を説明することが必要となります。

 

相続人の居住国の制度が理解の基本となっている場合には日本の相続の制度を理解してもらうのに時間がかかることもありますが、相続人として遺産分割に参加してもらう必要があることから、説明が必要になってきます。代理人として海外の相続人に連絡をとる場合には海外の制度と日本の制度との間にどのような違いがあるのかを説明しながら進めていく等の工夫をすることも考えられます。

 

<参考文献>

・木棚照一『逐条解説国際家族法重要判例と学説の動向』(日本加除出版、2017年)

・外国人ローヤリングネットワーク『外国人事件ビギナーズ2〔第2版〕』(現代人文社、2020年)

・酒井ひとみ=BDO税理士法人共著『国際相続の法務と税務』(税務研究会出版局、2020年)

 

 

東京弁護士会弁護士業務改革委員会

遺言相続法律支援プロジェクトチーム

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※本連載は、東京弁護士会弁護士業務改革委員会 遺言相続法律支援プロジェクトチーム編集の、『依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務』(ぎょうせい)より一部を抜粋し、再編集したものです。

依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務

依頼者の争族を防ぐための ケーススタディ遺言・相続の法律実務

ぎょうせい

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