氷河期世代、「失業期間長期化」の恐れ
男性のように、年齢が上がるにつれて求人数は少なくなり、失業期間は長期間に及ぶケースは増えていきます。「仕事内容にこだわらなければ仕事はある」という人もいますが、それは若年層の話で、中高年になるとひとつの求人に多くの求職者が殺到。驚くほどの倍率で「とても受かる気がしない」という声も。いまは経済が回復傾向にあるとはいえ、人的資本が十分に形成されてこなかった氷河期世代には、引き続き、厳しい状況が続いているのです。
毎日4,800円の失業手当ということから逆算すると、男性が勤めていた工場での給与は月20万円程度だと推測されます。厚生労働省の調査で、40代後半の男性(正社員)の月収をみていくと、中央値は31.2万円。下位25%で24.7万円、下位10%で20.6万円です。男性は下位10%以下と、氷河期世代のなかでもかなり厳しい状況に置かれていたと考えられます。そしてコロナ禍の影響を受けて、職まで失い、まさに踏んだり蹴ったり。専門家は経済活動が回復していくなかでも、取り残される人は今後も増えるだろうと警鐘を鳴らしています。
失業保険給付期間が終わったが、就職先が見つからない…「職業訓練受講給付金」を検討
男性の失業保険の給付期間は残りわずかで、カウントダウンが始まっています。失業保険の受給が終了したが、就職先がみつからない……。そこで考えたいのが「職業訓練受講給付金」です。一定要件を満たす場合、給付金を手にしながら職業訓練を受けることができます。
対象者は、「①ハローワークに求職の申込みをしている」「②雇用保険被保険者や雇用保険受給者でない」「③労働の意思と能力がある」「④職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワーク所長が認めた」の条件をすべて満たしていること。また支給要件として「本人収入が月8万円以下であること」「世帯全体の収入が月25万円以下であること」など、7つの条件をすべてクリアする必要があります。実家暮らしだったり、アルバイトをしたりして受給対象から外れたりするので注意が必要です。要件をクリアし、さらに「ビジネススキルに自信がない人」や「別の職種に就職したい人」にはお勧めの制度だといえるでしょう。
確かに生まれた時代が悪かった氷河期世代。浮上のきっかけが掴めずそのままの人、男性のようにさらに不幸に直面する人は多く、「もう、ムリ!」とフェードアウトしてしまいたくなるでしょう。ただ徐々にではありますが、サポート体制も整いつつあります。もう少し頑張ってみる、というのもひとつの選択肢です。