日本は世界に失業率の低い国だが…長期間失業状態の人は世界的に多い
――ハローワークに通いつめているが、仕事が見つからず8ヵ月が経過
苦しい状況を投稿する40代後半の男性。「もう若くないから、厳しい状況が続いている」と嘆きの言葉を繰り返します。コロナ禍の影響を受けて、20年ほど勤めていた工場が倒産。いまは毎日4,800円、月に14万円強の失業保険で、なんとか生活しているといいます。失業保険の給付も残りわずか。それまでに仕事が見つかるか……。
総務省統計局『労働職調査』によると、2022年、完全失業者は179万人。そのうち1年以上の長期失業者は64万人、長期失業者率は35.8%でした。男女別にみていくと、男性の完全失業者は107万人、そのうち長期失業者は46万人で長期失業率は43.0%。一方、女性の完全失業者は72万人、そのうち長期失業者は18万人で長期失業率は25.0%でした。
2010年代後半、長期失業率は下降傾向にありましたが、コロナ禍で上昇。その余波はいまなお続いています。
日本は世界的にみても失業率の低い国として知られています。OECDによると、2022年、調査対象38ヵ国中、日本は失業率37位。この20年ほどをみてみても、有効求人倍率が1.0を下回った2000年前後に24位を記録したのが最高位。ほかは“最下位=失業率が低い”をキープしています。
しかし長期失業数・長期失業率に焦点を当てると様子は変わってきます。同じくOECDの調べでは2022年、長期失業数は対象45ヵ国中7位。2000年以降の順位をみてみても、日本は常にトップ10圏内にいます。長期失業率では45ヵ国中15位。こちらはだいたい20位前半でしたが、コロナ禍の影響か、近年は順位を上げています。
【世界主要国『長期失業数』上位10ヵ国】
1位「南アフリカ」301.90 万人
2位「スペイン」118.05 万人
3位「イタリア」116.11 万人
4位「米国」90.20 万人
5位「トルコ」85.90 万人
6位「ロシア」81.39 万人*
7位「日本」64.00 万人
8位「フランス」61.20 万人
9位「ドイツ」45.48 万人
10位「コロンビア」36.40 万人
【世界主要国『長期失業率』上位10ヵ国】
1位「北マケドニア」75.43%
2位「南アフリカ」70.70%
3位「スロバキア」66.52%
4位「ギリシャ」63.13%
5位「イタリア」58.41%
6位「ブルガリア」53.75%
7位「ポルトガル」45.16%
8位「ベルギー」42.21%
9位「スロベニア」41.74%
10位「スイス」40.39%
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15位「日本」35.56%
出所:OECD(2022年) 資料: GLOBAL NOTE
*2021年の数値
世界でも低失業率で知られる日本ですが、昨今、長期失業者・長期失業率は世界的にも高水準にあるのです。