学校を卒業し社会に出る時に、大きく「正社員」か「それ以外=非正規」の二択があるでしょう。その後は時代は変わったとはいえ、「長く(同じ会社で)働けば、給与が上がる」というのが一般的。しかし非正規社員に限っていえば、そういうわけでもないようです。みていきましょう。
40代の非正規「同期は月収47万円」だが…「勤続20年目」呆然の給与額に「真面目に働いても、これだけ?」

意外と多い「非正規社員で現状に満足」…正社員になりたい「非正規社員」はどれほど?

大学卒業に向けて、就職活動を行い、どこかしらの企業から内定が出て、正社員として社会人の第一歩を踏み出す……というサラリーマンの既定路線だといえます。

 

一方、「自分には叶えたい夢がある」という夢追い人や、「会社には縛られたくない」などという自由人も。最近は求人も豊富ということもあり、“同じ線路にはあえて乗らない”人が増えているとか。

 

なんとも羨ましいと、いまの40代くらいの人は思うでしょう。いわゆる就職氷河期真っ只中。就職したくてもその一歩を踏み出すことができず、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトといった、いわゆる非正規社員として社会人の仲間入りをした人が多くいました。

 

また正社員になれたとしても、希望の業種や職種でなかったため途中でリタイアしたり、当時はいまほどパワハラなどへの意識が低かったため、いわゆる“ブラック企業”に就職してしまったりして、途中でリタイヤ。以来、非正規社員としてキャリアを積んでいる人もいます。

 

そしてもちろん、就職が厳しかった時代でも、夢追い人や自由人もいました。このように、いまの40代にも、非消極的な非正規社員と積極的な非正規社員がいます。

 

厚生労働省『令和元年就業形態の多様化に関する総合実態調査』で企業側に「なぜ非正規社員を雇っているのか」を尋ねたところ、最も多いのが「正社員が確保できないため」で38.1%。「1日、週の中の仕事の繁閑に対応するため」31.7%、「賃金の節約のため」31.1%、「即戦力・能力のある人材を確保するため」が30.9%と続きます。会社としてはやむを得ない事情もありつつも、人件費のプラスの側面があることが、非正規社員を雇う大きな理由になっているようです。

 

一方、非正規社員本人が「なぜ、非正規社員なのか」を尋ねてみると、「自分の都合のよい時間に働けるから」が最も高く36.1%。次いで「家庭の事情(家事・育児・介護等)と両立しやすいから」が29.2%、「家計の補助、学費等を得たいから」が27.5%と続き、どちらかといえば積極的な理由が上位を占めています。

 

消極的な理由としては、「正社員として働ける会社がなかったから」が12.8%、「体力的に正社員として働けなかったから」が4.4%。圧倒的に少数派です。

 

また「今後も会社で働きたいか」の問いには、85.6%が「今後も会社で働きたい」と回答(「現在の会社で働きたい」と「別の会社で働きたい」の合計)。そして彼らに「今後の働き方の希望」を聞いたところ、「現在の就業形態(非正規社員)で働きたいが64.9%と過半数超え。「正社員になりたい」は26.7%でした。

 

非正規社員として働く人のなかで「現状に満足」が多数派。その影響もあってか「正社員になりたい」という人への支援は、十分とはいえないでしょう。