社会との「接点」をたくさん持つ
本書では、話をわかりやすくするために「本業である会社員の仕事」と「副業であるクリエイター活動」を区分して語ることが多いですが、実際には本業と副業を明確に分ける必要はありません。
本業=嫌なこと・やらざるを得ないこと、副業=好きなこと・やりたいこと、という分け方も表面的すぎると思います。
本業と副業は決して対立しているわけではなく、本来はゆるやかにつながっているものです。
なぜかというと、一人の人間は会社の一社員だけでなく、家庭人や地域人など、さまざまな側面を同時に持っているからです。
人はいろいろな側面を持っているなかで、お金に換算できるスキルを通じて社会につながっています。
世の中には、会社で仕事をすることでお金に換算できるスキルを発揮している人が多いというだけで、本業だけで社会とつながっているわけではありません。
例えば、私はドラムを叩くのが好きで、かつてレストランでドラムを叩くという副業をしていた経験があります。
ドラマーとして出演料をもらっていたわけではないですが、ドラムを叩いたあとには、まかないの食事をさせてもらっていました。まかないの食事が出演料代わりです。
ドラムを叩くとレストランで美味しい食事ができるし、オーディエンスにも喜んでもらえる。そんな体験をして自己肯定感が上がりましたし、お金とは別のバリューを得ることができました。
これは、自分の中にある何かを社会とつなげる一例だと思います。
自己実現を目指す方法はさまざまです。あえて本業と副業を区別せず、あらゆる側面から自己実現の可能性を探っていくのがクリエイターの発想ではないでしょうか。
とにかく重要なのは、自分が持っている可能性を最大化して社会とつなげることです。
その視点に立てば、本業への向き合い方に変化が生まれてくるかもしれません。例えば、本業で自己実現につながりやすいプロジェクトに取り組むとか、自己実現につながりそうな部署への異動を目指すといった行動が考えられます。
これまでは、会社からの指示に従って与えられた仕事に黙々と取り組むケースが多かったと思いますが、自己実現のために会社のリソースを使うという発想へと180度転換するのです。