会社の仕事と社外の副業がハッキリと分かれていることは、ネガティブな結果を招くことがあります。今回は、米国・人材系ビジネスの最前線企業「LinkedIn」の日本代表を務めた経験もある村上臣氏の著書『稼ぎ方2.0「やりたいこと」×「経済的自立」が両立できる時代』から一部を抜粋し、成功する副業クリエイターの「本業の捉え方」について考えます。
「会社が楽しくない」→「定時ダッシュで副業」がなかなか上手くいかないワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

「何が仕事で何が遊びかわからない」を目指す

「複数のキャリアを作りたいという思いは強いけれど、忙しくて現実には難しそう」

 

「仕事が2つになると考えると、負担が大きそう」

 

そんなふうに感じる人は、公私の境界線を曖昧にすることを目指しましょう。

 

私が知り合いのクリエイターを見ていると、「公私の区別がない」という点が共通しています。

 

専業クリエイターだけでなく、副業クリエイターも何が仕事で何が遊びなのかよくわからないような生き方をしているのです。

 

「何が仕事で何が遊びかわからない」は、面白いものに貪欲な姿勢に通じます。

 

クリエイターは、会社で取り組む業務であってもプライベートの趣味であっても、とにかく面白そうなものは積極的に経験しようとします。自分で経験してみて、何かを得たいという強烈な欲を持っています。

 

あらゆる経験を通じて得た知見をアウトプットに昇華させているのです。

 

会社のために嫌々仕事をしている人、やらされ感の強いままズルズル働いている人は、本業との関わり方を変える必要があります。

 

おすすめしたいのは、会社の仕事の中から面白そうな仕事を見つけていくことです。

 

面白い仕事をしていれば、必然的に公私の区別は曖昧になっていきます。

 

それが難しいのであれば、転職を選ぶ選択肢もあります。転職して、公私の区別がない働き方を目指せばいいのです。

 

成功する副業クリエイターは本業も楽しんでいる

 

もちろん、完全に割り切って会社にぶら下がるのも一つの方法ではあります。本業では最低限の仕事だけをこなし、定時ピッタリに帰宅して副業に取り組む。実際にそういうスタンスで活動している人もいます。

 

ただ、失敗すると本業とのモチベーションギャップが大きくなるリスクがあります。本業の時間があまりに苦痛すぎるせいで、副業にも悪影響が出たら元も子もありません。

 

だから、できれば本業と副業をつなぐコネクションを持っておくのが理想です。

 

「文章を書く」とか「プレゼンをする」とか使うスキルがつながっているだけでも十分ですし、「本業と副業がつながっている」と自分が信じているだけでもかまいません。

 

いずれにせよ、本業=つまらない、副業=本来の自分で生きられる楽しい時間、というのはただの思い込みです。

 

最近は、VRワールドやメタバースの世界で本業とはまったく別の人格を生きることが可能になっていますが、私が見る限り、「現実世界がつらくて苦しいからバーチャルな世界に居場所を確保している」という人は意外と少数派です。

 

むしろリアルが充実している人が、別の人格を楽しんでいるというケースが結構多いのです。

 

例えば、私の友人に自宅でVRチャットにハマっている人がいますが、その人はリアルでもパーティ好きです。ただ、別人格を生きているというだけで、同じように人との関わりを楽しんでいるのです。

 

本業も副業も楽しめる人が、クリエイターとしても成功すると考えたほうがよいと思います。

 

 

村上 臣

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部

客員教員