「1つのキャリア」ではなく「複数のキャリア」を持つ
世の中がどのように変わっていくかの予測が難しい時代にあっては、社会との接点を1つに絞るよりも、さまざまな接点を持っていたほうが変化に適応しやすくなります。
端的にいえば、1つの会社に勤務し、そこにキャリアのすべてを依存している場合、会社が破綻した場合にキャリアも終了を余儀なくされます。
あるいは企業で営業職をしている人が、仕事がうまくいかなくなると、とたんに人生が閉ざされたような気分になります。特にブラック企業でパワハラ気味の上司がいたりすると、毎日叱責されて、メンタル疾患を患ってしまうかもしれません。
1つのキャリアがうまくいかないとわかってから新たなキャリアを構築しようとしても時間がかかります。
しかし、複数のキャリアを同時並行していれば、1つのキャリアがうまくいかなくなったときに、余裕を持って別のキャリアに取り組めるようになります。
収益化できないまでも自分の価値を認めてもらえているキャリアを複数持っていれば、たとえ1つがうまくいかなくなっても、残りの領域から生き残りの道を模索することができます。
「営業成績は下降気味だけど、自分には副業の○○がある。最悪それがあれば生きていける」
そう思えるだけで、気持ちに余裕が生まれます。
私自身、本業の仕事以外に複数の企業の社外取締役やスタートアップの戦略・技術顧問を務めています。また、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部で客員教員として学生に教えるという仕事も持っています。
正直にいうと、すべてのキャリアが同時にうまくいっているときはあまりないと感じています。ただ、最低でも1つはうまくいっているキャリアがあるので、何かうまくいかないことがあっても、落ち込むことはありません。
仕事に苦しさを感じている人の多くは、「選択肢のなさ」に苦しんでいるように見えます。
日本で働いている人の多くが、「ほかに道を選べない」「我慢するしかない」という論理で自分を追い込んでいるように見えます。
ですから、最低でも3つくらいのキャリアを持っておいてほしいと思います。それだけ複数のキャリアを持つことの精神的な安定感は大きいのです。