「放置の時代」から「見極めの時代」へ
株が放っておいても上がる3条件が崩れている時期には、投資をしない方が良いのかといえば、そうでもありません。投資スタイルを時代に合わせてシフトしていくことで、かえって大きな利益を得ることもできます。
◆「利益確定売り」のタイミングが収益につながる
3条件が整っている時期でも、大震災や政変、戦争といった「地政学的リスク」というものがあります。
投資をする上では常にリスク管理や最低限の経済知識は必要ですが、この時代は「保有してじっと我慢し、値上がりを待つ」という投資スタイルでも利益を出せることは多いでしょう。
一方で3条件が崩れた時には、たとえファンダメンタルズ面で優れた株であっても、いつでも急落する可能性があります。
急落したら、すぐに反転して急騰するかといえばそういうわけでもなく、低迷が長引く場合も多いので、手放すタイミングを見極めることが大変重要になります。
そんなこと本当に初心者にできるの? という疑問を持たれる方もいるかもしれませんが、その技術は学ぶことができます。
また、放置したまま持っていたいという人にとっては、細かく気にかけなくてはならない点で面倒に感じられるかもしれませんが、見極めの時代は「値動きが大きくなる」という特徴もあります。
値動きは利益の源泉ですから、値動きが大きくなるのはチャンスでもあるのです。
◆利益の公式
投資の利益は、長期投資であれ短期投資であれ、最終的には以下の公式で決まります。
たとえば、株価1,000円の銘柄を10万円で100株買って、2,000円の時に売却したとしたら、利益は10万円となります。計算としては
「100株×1000円幅=10万円」となります([図表1]参照)。
一方で、株価1,000円の銘柄を100万円で1,000株買って、1,100円の時に売却したら、これも利益は10万円です。計算としては
「1,000株×100円幅=10万円」という具合です。
◆値幅と利益が取れた例
たとえば、半導体関連装置で有名なレーザーテック(6920)は、2020年の春には4,000円ほどの株価でしたが、2021年末には3万6,000円近くまで上昇しました。
このタイミングで決済していれば大きな利益を得られましたが、そこがピークでした。2022年に入ると断続的に売られ、3月には1万6,000円台まで下落しました([図表2]参照)。
上昇しているからと放置するのではなく、手仕舞いのタイミングが大事だという事例です。
そのほか、INPEX(1605)や武田薬品工業(4502)なども、チャートを見ていただくとわかりますが、中長期保有でなく、短期的な買いと売りのタイミングを的確にとらえることで、毎月数万円〜10万円程度の利益は狙えます([図表3]参照)。
これからの時代の投資スタイルは「放置」ではなく「見極め」です。買いのタイミングと利益を確定して決済するタイミングを学ぶことで、その技術は老若男女に関わらず、堅実に身につけることができます。
髙橋 慶行
株式会社ファイナンシャルインテリジェンス 代表取締役