税制改正を経ても「贈与が相続税対策」になるワケ
では、生前贈与をすると、なぜ相続税対策になるのでしょうか。
それは、贈与をした分が相続財産から外れるためです。贈与すれば、それだけ親の資産は減ります。そうすれは、親が亡くなっていざ相続となったときに、減った資産を対象にして相続税がかかるわけです。
たとえば、もともと親の資産が1億円あり、生前に子ども2人に1000万円ずつの贈与をしたとします。その親が亡くなって相続が行われると、親の資産は8000万円になります。ただし、相続税[図表2]と贈与税[図表3]の表を比べればわかるように、贈与税は相続税よりも税率が高く設定されています。
「じゃあ、わざわざ生前に贈与をして贈与税を払うのでは損ではないか。亡くなるまで贈与をせずに相続したほうが税金が安くなって子どものためにもなるのでは?」
誰もがそう思うことでしょう。ところが、実際には必ずしもそうではありません。年間110万円の基礎控除や、各種の贈与税非課税制度があるために、生前に贈与したほうが得な場合もあるのです。
課税のボーダーライン「110万円」
贈与税は、原則として「暦年課税」という方式で課税します。暦年とは文字通り、暦の1年のことです。1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計額に課税する方式のことで、翌年の2月1日から3月15日までに申告します。
重要なのは、この制度をとると年間110万円の基礎控除が認められる点です。1年間に受けた贈与額が110万円以下ならば贈与税はゼロであり、110万円を上回った場合は、贈与額から110万円を引いた金額に対して課税されます。たとえば、500万円を贈与されたら、500万円から110万円を引いた390万円が課税の対象になるわけです。
これを[図表3]の贈与税の速算表(税率表)にあてはめてみましょう。課税対象額に該当する税率をかけ、控除額を差し引くと贈与税の金額が算出できます。なお、ここでいう控除額(速算控除)というのは、110万円の基礎控除とは違い、税額を計算するうえで便宜的に設けられているものです。
さて、先ほどの例で課税対象額が390万円の場合、税率が15%で控除額が10万円ですから、贈与税は
になります。[図表3]は、親や祖父母など、直系尊属から贈与を受けた場合の税率(特例税率)を示しています。なお、[図表4]はそれ以外の親族や他人からの贈与の税率(一般税率)となり、これよりも多少高くなります。
今回の税制改正によって、年間110万円の基礎控除が廃止、または縮小されるかもしれないと心配されましたが、従来のまま存続することになりました。
注目のセミナー情報
【事業投資】3月22日(土)開催
年商5億円も夢ではない
なんと⁉店舗継続率、驚きの97.3%!
「買取大吉」のリユースビジネスの秘密とは
【税金】3月25日(火)開催
“国税OB不動産専門税理士が登壇“不動産投資セミナー
実物件を使ったシミュレーションで学ぶ賢い不動産投資術!