大企業・大卒サラリーマンの定年退職金は「平均2,000万円超え」
従業員の退職に伴って企業が支払う退職金。退職手当、退職慰労金……名称はさまざまですが、同じものです。
その歴史は古く、江戸時代の「のれん分け」から始まったという説が有力。長い丁稚奉公(でっちぼうこう)が明けたとき、功労の意味で現物ののれんを渡したことが始まりなのだとか。企業の福利厚生制度として登場したのは明治時代以降で、大企業を中心に採用は広がり、戦後、急速に普及しました。
現在の退職金は大きく「退職一時金」と「退職年金」の二通りの支払い方法があります。退職一時金は企業年金制度から脱退したときに支給される一時金で、退職年金は一括ではなく分割して定期的に受け取るもの。退職一時金は退職所得として税制上の優遇措置がありますが、企業年金は通常、雑所得として扱われ、優遇処置はありません。両方の制度を併用する企業もありますが、現状、退職一時金のみという企業が圧倒的に多くなっています。
ちなみに法律上、退職金の支給義務はなく、すべて各企業の判断に委ねられています。
ではそんな退職金ですが、いったいどれほどもらえるものなのでしょうか。一般社団法人日本経済団体連合会『2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果』によると、大学卒・総合職・60歳定年の場合で2,440.1万円。高卒・総合職・60歳定年で2,120.9万円。また中央労働委員会『令和3年賃金事情等総合調査』によると、大学卒・総合職・60歳定年で2,563.9万円、高卒・総合職・60歳定年で1,971.2万円でした。
また東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)』によると、大卒・定年退職で1,091.8万円。ちなみに同じ大学卒で自己都合による退職の場合、勤続10年で112.1万円、20年で343.1万円、30年で653.6万円、会社都合の退職だと勤続年数10年で退職金149.8万円、20年で414.7万円、30年で754.2万円です。
あくまでも転職もせずに、新卒以来入社した1社だけで頑張ってきたような大卒サラリーマンに限った話ではありますが、大卒・大企業勤務であれば2,000万円強、中小企業勤務であれば1,000万円強が、定年退職金の相場となります。