あなたにオススメのセミナー
オークランドの豪雨、再び…異常気象のゆくえ
5月9日、オークランドではまた豪雨が発生し、市内中心部では道路が冠水して大渋滞が発生しました。
大雨の少し前から、私はお客様とオークランドの市内全体が見渡せるホテルのカフェで面談をしていました。面談の途中で大雨警報が鳴り響き、そこで少し不安がよぎりましたが、近い将来に家を売る、という大切な計画のご相談だったため、面談を続けました。
面談も終わり、ホテルを出て、タクシーで移動しようとしたところ、タクシーの運転手に「乗らないほうがいい。普段なら10分で行ける目的地まで50分かかる、とグーグルマップに出ているが、この様子だとどうなるかわからない」と言われたのです。ホテル横の道路を見てみると、確かに渋滞が発生していました。
一般道は渋滞していましたが、オークランド市内の道路にはバス専用レーンも多いため、この状況ならタクシーよりもバスのほうが速いだろうと考えた私たちは、バスで帰ろう、ということになりました。
雨がちょうど小雨になっていたのをいいことにバス停まで歩くと、バス停は同じことを考えた人たちで、すでに行列ができていました。
こうなったら、急がずにカフェで休憩して様子を見ようと、別のホテルのカフェで休憩することにしました。しかし、渋滞は解消する気配もなく、ならば電車はどうかと思い立ち、ネットで運行状況を調べると、遅延はしているものの、なんとか動いていることが判明。私たちは駅まで移動し、ようやく帰宅することができました。
その日、オフィスのメンバーのなかには、車で移動していたために帰宅に3時間かかった人、家の浸水を心配して早々に帰宅した人もいたそうです。
物件の浸水もなく、カギの引き渡しで「感極まる」
このように、今年は雨に悩まされ続ける日々です。
無事帰宅した翌日、もうすぐ引き渡し予定の物件の買い手である若いご夫婦から「弁護士の指示で、この雨で家が浸水したりしていないか、証拠の写真を送ってほしい」と連絡が入りました。
電話を受けたのは大雨のなかの帰り道だったため、「今日はもう真っ暗になるし、移動も難しいです。明日の早朝に行くので待ってもらえますか?」と伝え、一夜明けた早朝、該当の建物の確認へと向かいました。
恐る恐る物件を確認すると、浸水もなく、近隣の道路も無事であると判明。写真を送信すると、買い手の夫婦も安心し、無事に資金の精算を終えることができました。
鍵をお渡しするため物件で待ち合わせましたが、大きな自然災害で不安もあるなか、無事にマイホームを受け渡しされたことで、若いご夫婦は感無量といった表情に。
私たちも何度となく家の引き渡しをするなかで、そのたびごとにさまざまな家族のドラマを目の当たりにしましたが、双方が涙ながらにハグして鍵を受け渡すのは初めての経験でした。
NZの住宅も、いよいよエアコンが標準装備に
話は変わりますが、23年間住んでいる我が家も、ついにエアコンを設置しました。
冬は小さな電気ヒーターをつけるだけで充分、夏は窓を開ければ涼しい風が通るため、エアコンいらずの生活を過ごしていました。
しかし、思い返せば5年程前ぐらいから、夏は湿気のせいか蒸し暑く感じることも増え、冷房があればなぁ…と思う日が1週間程でてきました。
わざわざエアコンを買わずとも、1年のうち1週間を乗り切ればいい話で、機械がなければ電気代も不要です。なにより、できる限り自然な気温で過ごしたいと思っていたのですが…。
しかし今年の夏は、雨のせいで寒さが長く続いているためか、エアコンの価格が下がっていました。そのため、思い切って注文したのです。
移住してきた当初は、一般住宅にはエアコンがないのが当たり前でしたし、いまの家に住み始めてから23年間、エアコンの必要性を感じない生活を送ってきました。
しかし時は流れ、地球温暖化の影響や、コロナ禍のステイホームでエアコンの必要性を感じた人も多く、この国でもエアコンの設置は普通のことになりつつあります。
家の売買でも、エアコン設備の有無が購入の判断材料になるケースもでてきました。
投資物件の場合、暖房は必須要件です。エアコン未設置の物件の家主は、未設置のまま安く貸すか、予算を組んで設置をして高く貸すか、悩みどころになっています。
変化するマーケット、ここはポジティブに行動を
下記の、4月の不動産価格のデータをご覧ください。オークランドの物件販売平均価格は、長い間100万NZドル越えでしたが、ついに100万NZドルを切り、90万NZドル台になっています。これには私も驚きました。
通常のマーケット価格より20%前後下がっている感があり、100万NZドル前後の家の販売が鈍化していることが浮き彫りになっています。
特別永住権取得者の方がマイホームを購入するための相談を受けることも多いのですが、予算は70万NZドル、80万NZドル台という方がほとんどのため、こういったことも平均価格の下落の一因なのではないかと考えています。
一方、住宅ローンを組む際の買い手と金融機関との仲介役となるモーゲージブローカーは、
「最近は住宅ローンの問い合わせが増えたため非常に忙しい。銀行も金利上昇で住宅ローンの貸付が厳しい状況だったのが、徐々に金利を下げているため、ファーストホームバイヤーでもマイホームを購入しやすいようになっている」
「ローンの審査に通らないと嘆いている人がいれば、すぐに連絡が欲しい」
といっていました。
モーゲージブローカーの忙しさは、私たち不動産業者の営業結果に比例します。週末のオープンホームの来場者数が2週間前から増えてきていることからも、先ほどのコメントが本当であるとわかります。不動産業者としては苦しい時期ですが、もう少しの辛抱のようです。
今年の後半には、マーケットが回復する兆しがありますので、今年前半、家が売れず、マーケットから撤退された方は復帰のチャンスです。
一方で、購入を考えている方はいまがラストチャンス。これからでも遅くありませんので、お得な価格で物件が手に入るこの時期を逃さぬよう行動してください。
一色 良子
Goo Property NZ LTD 代表取締役社長
Harcourts -Shelter Realty Ltd 所属
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】