トップランナーが考える「真の国際教育」
――なぜ今、ボーディングスクールが注目を集めるのでしょう?
竹中氏:グローバル教育とは人と人とが繋がる基礎と言えます。国境を超えた知的な交流は、社会そして世界を繋げるもの。たとえば、第二次世界大戦後、日本から未来を担う若者が選ばれ、アメリカで学ぶというプログラムがありました。実は、これが現在の日本とアメリカの強い関係性の基盤のひとつになっているのです。
ハロウ安比校をはじめとするボーディングスクールも、このような影響を与えるはずです。ここで交わされる「知の交流とコネクション」が、これからの社会を変える基盤となるかもしれません。
――なるほど、教育そのものはもちろん、国際的な環境で生まれる絆そのものにも価値があるということですね。
竹中氏:留学や、ハロウ安比校のような学校で行われる知の交流は「自分の人生をどう充実させるのか」という学びも含まれるでしょう。文化を楽しむことも含まれます。文化は、人間のクリエイティビティにおいてとても重要な役割を果たしています。国際的なイベントであるダボス会議を例に見てみても、必ず芸術パフォーマンスがあり、スポーツ選手や、著名な文化人なども招待されます。グローバルに活躍する人材にとって文化を楽しむということは欠かせないこと。このような点からも全人教育を通じて、スポーツ、アート、社会貢献の素養が身につく学校こそ、グローバル教育の模範であると思います。
――包括的な教育こそが鍵となり、そのことを体感している熱心な保護者が、全寮制インターナショナルスクールを選んでいるということですね。現在、日本でも「アクティブラーニング」の促進を掲げています。これに関しては、ファーリー氏が校長をつとめるハロウ安比校に一日の長があると思いますが、どのように取り組んでいらっしゃいますか?
ファーリー氏:まず私たちの「コア・カリキュラム」(平常授業)では、先生たちは生徒が主体となり、意欲的に学べるように様々な工夫をしています。STEAM教育においては自分自身で手を動かしながら、教科の垣根を超えイノベイティブに学ぶことが大切ですね。
そして何より、生涯かけて意欲的に学ぶ人材の育成のため「スーパー・カリキュラム」(科目を超えた学び)を大切にしています。生徒は自分の興味のある分野に対して、さらに深く探究し、教員にとっても自分の専門分野を生徒と共有できる機会でもあります。この経験を通じて生徒たちは「意欲的に学ぶこと」、「ギーク(オタク)であること」はカッコいいのだと気づき、より没頭することができます。これまで社会に影響与えてきたイノベーターやリーダーをみてみると、みなさん自分の分野に情熱を持ったギークですよね?
ハロウ安比校では、さらに芸術、スポーツ、社会貢献などの学びが加わることで全人教育を提供しています。このような複合的な学びができる日本では類を見ない学校と自負しています。