(※写真はイメージです/PIXTA)

平均値で語られるケースが多い「会社員の給与」だが、しばしば「中央値のほうが正確」との声も上がる。では、平均値と中央値を比較した場合、どの程度の差異があり、年金受給額には、どれほどの違いが生じるのだろうか。統計から計算すると、なんともトホホな結果が見えてきた。

サラリーマン「平均給与、月34万円」

日本が世界経済をけん引していたバブル時代は遠く過ぎ去り、現在は先進各国の後塵を拝するポジションに成り下がっている。

 

当然ながら日本人の給料は伸び悩み、サラリーマンも自身の給与額についてナーバスになっている。とくにサラリーマンたちをヤキモキさせているのは、給料の「平均値」と「中央値」だ。

 

念のため申し上げると、「平均値」は「データの合計をデータの個数で割って得られる値」であり、「中央値」は「データを大きさ順に並べたときに中央になる値」。中央値は、平均値ほど極端な数字の影響を受けにくいとされているが、経年では正しく変化を反映しない場合もあるといわれる。

 

以下、日本のサラリーマンがしばしば心乱される、給与の平均値と中央値を見ていこう。

 

厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』のデータによると、サラリーマン(平均年齢44.5歳)の平均給与(所定内給与額)は月34.2万円、中央値は30.1万円となっている。その差はおよそ4万円。

 

年齢別では、平均値は30代後半で30万円台、50代で40万円台、50代後半でピークとなる。中央値も近い曲線となるが、ピークの50代後半でも37.8万円と、40万円台には届かないままだ。平均値と中央値の差は、20代でおよそ1万円だが、30代ではおよそ2万円、40~50代は3万円超、60代前半では5万円を超えるなど、年齢があがるにしたがって広がる傾向が見て取れる。

 

◆年齢別・サラリーマンの給与「平均値」と「中央値」

 

20~24歳:22.1万円 / 21.6 万円

25~29歳:25.9万円 / 24.9 万円

30~34歳:29.7万円 / 27.9 万円

35~39歳:33.6万円 / 30.8 万円

40~44歳:36.4万円 / 33.3 万円

45~49歳:38.8万円 / 35.7 万円

50~54歳:41.1万円 / 37.3 万円

55~59歳:41.7万円 / 37.8 万円

60~64歳:32.2万円 / 27.1 万円


出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』


「平均給与、40万円を超えているんですね…」


ある50代サラリーマンは肩を落とすが、

 

「まあ、ほぼ〈中央値〉だし、負け組ってわけじゃないですよ」

 

と、あたかも自分を励ますかのように言葉をつなぐ。

平均値と中央値、最終的な着地は…

では、平均値の給与のサラリーマンと、中央値の給与のサラリーマンそれぞれの年金額も追ってみよう。

 

20歳から60歳定年まで働き、賞与はサラリーマンの平均値である3.01ヵ月分という前提で計算すると、平均値のサラリーマンの生涯年収は2億円に到達するが、中央値のサラリーマンは1.8億円程度にとどまる。厚生年金額を求める際の平均標準報酬額は、平均値では41万円だが、中央値では38万円だ。

 

そこから計算すると、平均値のサラリーマンが手にする厚生年金は月8.9万円程度となり、国民年金と合わせると月15.4万円。一方、中央値のサラリーマンが手にする厚生年金は月8.3万円程度で、国民年金と合わせると14.7万円。その差、月に7,000円、1年で8.4万円。

 

総務省『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、65歳以上の単身男性の1ヵ月の消費支出は14万8,918円。税金や保険料を考えると、月17万円ほど欲しいところだが、平均値だろうと中央値だろうと、老後、暮らしていく金額には不足だという点は変わりない。

 

もっとも「月7,000円」の年金格差は、収入源が限られる老後にあっては、かなり大きい。平均の人も中央の人も、現役時代から老後資金確保に頑張るしかないということか。

 

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