氷河期世代のなかでも「圧倒的給与差」が露呈
なぜ氷河期世代は、こうもうまくいかなかったのでしょうか。
理由はひとつだけではありませんが、「新卒採用に重きを置く日本企業の弊害」という専門家も。新卒時に正社員になれなかったら最後、その後にチャンスをつかもうとしても、比較されるのは同年代の正社員としてキャリアを積んできた人たち。当然、キャリアで劣る非正規社員は、なかなか浮上のきっかけをつかむことができず、つかめたとしても、前出のサラリーマンのような、低賃金の正社員というポジション……このように、新卒採用を重視するあまり、リベンジのしづらい環境だと指摘しているのです。「確かに一理ある」といったところでしょうか。
しかし氷河期世代を語ると、必ずといっていいほどでてくるのが、氷河期世代でも勝ち組とされる人たちの主張。新卒時、希望通りに会社に就職したり、希望通りの職業に就けたりした人ももちろんいるわけです。たとえば、大企業に勤務するようなサラリーマン。40代後半だと平均月収は51万円、年収で885万円と圧倒的な格差が生じています。そういう人たちにとっては、よくある氷河期世代の主張もいまいちピンとこないでしょう。
さらに「そもそも会社員に縛られているからだ」という成功者の声も。確かに、このころ日本の企業に見切りをつけ、自身で起業、そして成功した経営者も数多くいました。このような人たちからすると、会社員であること自体が不幸の始まり、といったところなのでしょう。
とはいえ、氷河期世代を放置した結果、少子化も高齢化も加速、社会保障費が膨れ上がったといわれていますし、今後さらに深刻化するとされています。いまさら氷河期世代を救うなど、現実的に手遅れとされるなか、同じような世代を二度と作らぬよう反面教師にするしかないようです。