就職氷河期…教員採用試験も過去類を見ないほどの競争倍率だった
――就職氷河期……教員の世界でもひどかった
そうネットに書き込んだのは、40代後半の元教員だという男性。現在は教職を離れ、会社員として働いているといいます。
なにがひどかったのかといえば、まず試験倍率。文部科学省の資料によると、2022年、公立小学校教員の試験倍率は2.5倍、中学校が4.7倍、高等学校が5.4倍でした。過去40年ほどで最も倍率が高かったのが公立小学校で2000年の12.5倍、中学校では同じ2000年に17.9倍を記録。高等学校では2000年に13.2倍を記録し、以降、2007年まで13~14倍を記録しています。
昔は「地元に帰って教師にでもなるわ」などと言われることも。地方で安定した職業のひとつとして教員が人気だったわけですが、就職が困難だった1993年から2005年卒の人たちを称する氷河期世代においては、「(教員養成系の)大学を出たのに先生になれない……」という時代だったわけです。
【就職氷河期世代「公立学校の採用試験」倍率】
1992年:3.2 /5.0 /6.4
1993年:3.7 /6.0 /6.9
1994年:4.8 /8.0 /7.2
1995年:6.2 /8.8 /8.7
1996年:7.7 /8.8 /10.8
1997年:8.4 /9.3 /10.6
1998年:10.1 /12.3 /10.9
1999年:12.0 /15.9 /11.9
2000年:12.5 /17.9 /13.2
2001年:9.3 /16.0 /13.4
2002年:6.3 /12.0 /13.9
2003年:5.3 /11.8 /13.9
2004年:4.8 /11.8 /14.1
出所:文部科学省『公立学校教員採用選考試験の実施状況』より
※数値は左より公立小学校、公立中学校、公立高等学校。単位は倍
高い競争倍率のなか勝ち抜き教員になった男性。総務省『令和4年地方公務員給与実態調査結果等』によると、小・中学校の教員(小・中学校教育職)の平均給与は月40万8,337円。厚生労働省の資料によると、会社員(正社員)の手当等も含めた平均給与は月35万8,500円、大卒に限ると40万0,700円。平均的な会社員の給与水準と同レベル、またはそれ以上にも関わらず、前出の40代男性はなぜ教員を辞めたのでしょうか。男性はその理由として「業務量がえげつなかった」としています。