(※写真はイメージです/PIXTA)

相続に関するテーマは、とてもセンシティブで、それ故になかなか話しづらいものです。そのため、その知識量は個人差が大きいと言われます。人生100年時代と言われているため、実際に相続が起こるタイミングはかなり先になるかもしれません。しかし、人がいつ病気や事故でなくなるかは誰にも分かりません。ですが事前に知識を手に入れ、対策することでリスクを軽減することができます。資産コンサルティング業務を行う田邉陽吉氏が解説します。

相続の節税方法③「贈与を活用する」

最後に、贈与を用いた節税方法を紹介する。相続について早く考え始めることにより、贈与によって対策がとれるのだ。

 

通常、資産を贈与する場合、贈与税がかかるが、年間110万円までの贈与であれば、贈与税はかからない。そのため、早い内から相続したい相手に110万円ずつ贈与しておけば、相続が発生した際に相続税額を抑えることができる。

 

この方法も何かコストがかかるわけではないため、やらない理由はないと考える。また、他にも1,500万円まで非課税となる教育資金贈与や、1,000万円まで非課税となる結婚・子育て資金贈与などの非課税枠もあるため、こういったものの条件をうまく使うと贈与税がかからずに資産を渡していくことができる。

 

さらに、少し変わった方法になるが、あえて贈与税を支払ってでも先に贈与し、保険を組み合わせることで結果的により多くの資産を残せるといった方法もある。

 

たとえば、60歳の男性、35歳の息子、5歳の孫という3世代がいたと仮定し、60歳の男性に3億円の資産があるとする。この3億円を誰か1人にそのまま贈与すると、贈与税として約1億5,000万円を支払うことになる。

 

しかし、これを孫に贈与し、その資産で契約者を孫、被保険者を息子、受取人を孫にして保険に加入する。そうすると保険にはレバレッジがかかるため、約1億5,000万円の保険料で保険金が約3億円になるケースがあるのだ。こうすることによって、贈与税は支払ったとしても、結果的に一族により多くの資産を残せるようになる。

大切なのは早く対策をはじめること

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ここまでいくつか相続税の「節税」の方法について紹介してきた。

 

しかし、節税の方法は他にもたくさんあり、資産状況などによって十人十色である。

 

ただ、冒頭にも綴ったように、大切なのは早く対策を始めることである。早ければ早いほど、さまざまな対策を打つことができるようになるからだ。相続は非常にセンシティブな問題であるうえに、手続きに手間のかかる問題であるため、それについて考えること自体、かなり気力・体力を使うことになるかと思う。

 

しかし、しっかりと準備することで大切な家族が何千万円という納税に追われる心配がなくなったり、より多くの資産を残せたり、得られるメリットは大きい。

 

早く考え始めて損するということは一切ないため、もしもの時に備えて、しっかり早いうちから準備しておく必要があるだろう。

 

田邉 陽吉

ファイナンシャルアドバイザー

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