首のこりを放置→「あれっ、文字が書けない」…“頸椎椎間板ヘルニア”の恐怖【専門医が解説】

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首のこりを放置→「あれっ、文字が書けない」…“頸椎椎間板ヘルニア”の恐怖【専門医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

30代から50代までの男女に多く発症する「頸椎椎間板ヘルニア」。放置すると徐々に悪化し、やがて手術しても神経症状の回復が困難になるほど重症化するケースもあると、横浜町田関節脊椎病院の越宗幸一郎院長はいいます。今回は、頸椎椎間板ヘルニアの症状や予防法、また1分間でできる「セルフチェック」についてみていきましょう。

治らない首のこりや痛みは「頸椎椎間板ヘルニア」かも

マッサージや整体に行っても、なかなか首のこりや痛みが治らない……。実は、それは単なるこりや痛みではなく「頸椎椎間板ヘルニア」という病気が隠れているかもしれません。放置すると首の痛みやこりだけでなく、腕のしびれや麻痺が生じたり、歩行が困難になったりするリスクもあります。

 

日常のちょっとした動作で発症する「頸椎椎間板ヘルニア」

頸椎椎間板ヘルニアとは、文字通り、頸椎(首の骨)に起きる椎間板ヘルニアのことをいいます。

 

頸椎は7つの骨(椎骨)からできており、椎骨と椎骨のあいだには弾力性がありクッションの役割を果たす「椎間板」があります。

 

しかし、椎間板の中心にある「髄核(ずいかく)」が外に飛び出してしまうと、背骨の中心を通っている神経が圧迫され、痛みやしびれなどの症状が起こります。これが「頸椎椎間板ヘルニア」の症状です。

 

[図表1]左:正常な椎骨/右:椎間板の中心にある髄核(ずいかく)が出てしまっている(「椎間板ヘルニア」の状態)
[図表1]左:正常な椎骨/右:椎間板の中心にある髄核(ずいかく)が出てしまっている(「椎間板ヘルニア」の状態)

 

「腰椎椎間板ヘルニア」との違い

椎間板ヘルニアには、頸椎に症状が出る場合のほか、腰椎に症状が出ることもあります。この「頸椎椎間板ヘルニア」と「腰椎椎間板ヘルニア」では、症状の現れ方や治療の難易度が大きく異なります。

 

頸椎椎間板ヘルニアは、たとえば少し遠くにあるものを取ろうと手を伸ばしたときなど、日常のほんのわずかな動作で発症しやすいのが特徴的です。

首を左右に傾けて…1分でできる「セルフチェック」

頸椎椎間板ヘルニアは、気づかないうちに発症していることも多いため、適切に治療を行うためにも早めに疾患に気づくことが大切です。そこで、以下に示す2つのテストを行ってみてください。

 

1.首を左右に傾けてみてください。片手で頭部を押すと、上腕、前腕、手などに痛みやしびれがありますか?

 

2.頭を後ろに傾けてみてください。片手で頭部を押すと、上腕、前腕、手などに痛みやしびれがありますか?

 

[図表2]「ジャクソンテスト」(簡易ver.)
[図表2]「ジャクソンテスト」(簡易ver.)

 

どうでしょう。痛みやしびれはありましたか?

 

これらのテストは、「ジャクソンテスト」「スパーリングテスト」を簡便にアレンジしたものです。もともとは交通事故のあと、むちうちなどの度合いを調べるのによく用いられるテストで、どちらも頚椎から手に向かって伸びている神経の障害を調べるためのものです。

 

本来は医師などが補助し、2人1組で行うのですが、ひとりで簡単に行えるようアレンジを加えています。

 

このテストを行って、痛みやしびれを感じる場合は、頸椎椎間板ヘルニアが発症していることが疑われます。特に、上腕の外側に痛みがある場合は第5頚髄(けいずい)神経、首から上腕前腕橈(ぜんわんとう)側に痛みがある場合は第6頚髄神経に障害が起こっていると考えられます。

 

痛みやしびれが生じている部位から、どの脊髄神経に障害が起こっているのかを逆算的に理解することができるのです。

 

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