SDGsに取り組むメリットを経営に生かす
SDGs経営に取り組むメリットは大きく、裏を返せば取り組まないことによるリスクが存在する。SDGsの考え方や目指す姿は誰もがその趣旨に賛同するだろう。しかし、いざ企業として取り組むとなると、「効果が見えない」「取り組み方が分からない」と二の足を踏む企業も多い。総論賛成ではあるが、各論反対なのである。
ここで断言するが、メリットとリスクを理解し、躊躇なくSDGs経営へ邁進すべきである。これは企業規模や業種を問わない。誰一人取り残さない精神は、恩恵を享受する側だけでなく、提供する側も誰一人取り残してはいけないのである。
SDGsに取り組むメリットを以下の3点にまとめる。
①全世界で取り組むべき成長市場を示している
SDGsは世界共通の課題であり、この課題に対して国を挙げて推進する意志を固めている。VUCA時代※3と言われる先行きが見えない時代にあって、唯一と言っていいほど成長市場を明確に指示している。ここへのアプローチは大きなチャンスとなる。
②同じ想いを持つステークホルダーとのパートナーシップが構築できる
17番目のゴールにある通り、パートナーシップは重要なテーマである。しかしながら、日本人や日本企業は苦手とされている。そこでSDGsに本気で取り組むという想いを発信することによって、その想いを共にする仲間をつくることができる。同じ想いを持った仲間による成果のインパクトは1社での取り組みの比にならないほど大きい。社内外へ想いをしっかり発信しよう。
③企業価値を高める企業ブランディングにつながる
企業を評価するモノサシが変わってきている中、社会貢献する企業への評価は年々高まっている。SDGsへの貢献は企業価値を高め、大いにブランディングに役立つ。そしてそれがさらなるSDGsへの大きな貢献につながるという正のスパイラルにつながる。
また取り組まないことによるリスクについても以下3点でまとめる。
①今対策を打たなければ将来の経済・社会・環境のリスクを増大させることになる
2030年までに解決しなければ将来に大きな危機を及ぼす17の課題に対して、今取り組まないということは、企業や個人、子孫の安全・安心を脅かすことにつながる。今以上にリスクを拡大させる活動は決して許されるものではない。「自社一社くらいいいだろう」「これくらいでいいだろう」といった考えは即刻捨てるべきである。
②サプライチェーンでの取り組みに後れを取ることで事業機会を喪失する可能性がある
大手企業を中心に業界全体やサプライチェーン全体での取り組みが重要だという認識が強くなっている。そうした風潮の中、自社だけ取り組まないということになるとサプライチェーンから外されるリスクもあり、事業継続に悪影響を及ぼす可能性がある。今はまだそういった動きがないという企業も、数年のうちにはその流れにのまれることになる。そうなってから慌てて取り組むのではなく、リードするくらいの気概が必要である。
③世界の意識が変わる中で、顧客や社員などあらゆるステークホルダーから選ばれなくなる
エシカルな消費活動が一般消費者にも広がりつつある。世の中の風潮は間違いなく良い方向へ変化している。その変化についていけない・ついていかないとなると、やがて顧客や社員から選ばれなくなってしまう。真正面から取り組む企業姿勢に顧客も社員も感動し、エンゲージメントが高まるのである。
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