正規社員と非正規社員のように、雇用形態によって給与が大きく異なることは良く知られていて、その給与差は生涯で1億円を超えるとされています。しかし「正社員はいいなあ」という愚痴は、あと10年ほどで聞かなくなるかもしれません。みていきましょう。
平均月収29万円だが…「負け組・非正規」が「勝ち組・正社員」を嘲笑う、なんとも恐ろしい日本の10年後 (※写真はイメージです/PIXTA)

2035年、「正社員」がいなくなる⁉

正規社員と非正規社員。これだけの給与差がつくのですから、正社員は勝ち組、(正社員になりたくてもなれなかった)非正規社員は負け組とされても仕方がないかもしれません。

 

しかし、正社員が勝ち組と高笑いできるのもあとわずか。近い将来、正社員が負け組といわれる時代がくるとされています。

 

厚生労働省『働き方の未来2035』では、「企業に所属する期間の長短や雇用保障の有無等によって『正社員』や『非正規社員』と区分することは意味を持たなくなる。」とされています。つまり正社員という働き方はなくなるというのです。

 

というのも、2035年の企業は、ミッションや目的が明確なプロジェクトの集まりとなり、多くの人が、プロジェクト単位で企業に属するようになるといいます。その結果、企業という組織の内と外の垣根は曖昧になり、企業が「正社員」として抱え込むことをやめてしまうといいます。

 

もちろん、ひとつのプロジェクトが終了しても、次のプロジェクト、またその次のプロジェクトと、ひとつの企業に所属し続ける人も出てくるでしょうが、働き方は想像できないくらい柔軟なものになります。

 

雇用が流動的になる環境では、必要とされる人材に仕事が集中することが想像されます。そのような時代に対応する人材は、正社員であることに固執する人たちよりも、いまでも柔軟な働き方ができる非正規社員だという見方も。時間的に余裕があるため、仕事を掛け持ちしたり、副業をしたり、スキルアップを目指したり……来たる時代に向けて磨きをかけることができるというのです。

 

もちろん、これはあくまでも青写真。そのような時代が来るかもしれないし、来ないかもしれません。しかしいまでも柔軟に働けるからと、あえて非正規社員を選択している人も多くいます。なかには正社員とは比べ物にならないくらいの高収入を得ている人も。本当の勝ち組は、いち早く変化に対応しようと、いま、「あえて非正規社員」でいる人たちかもしれません。