念願だったマイホーム。余裕のある返済プランだったはずなのに、なぜか重くのしかかる住宅ローン。住宅ローン返済世帯が抱える負担の正体についてみていきましょう。
月9万円だったが…50代・子持ち夫婦が思わず絶句する「住宅ローン返済額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

住宅ローン返済世帯…平均返済額は月8万~9万円

総務省統計局『家計調査 家計収支編』(2022年)によると、持ち家に住む勤労世帯のうち、住宅ローンを支払っているのは49.7%とほぼ半数。日本の持ち家率は6割程度といわれていますから、日本の家族の3割は住宅ローンを抱えている計算になります。

 

住宅ローン返済世帯の家計の状況をみていきましょう(図表1)。住宅ローンを抱える世帯主(夫/平均46.9歳)の月収は平均51万円。手取りにすると37万~38万円といったところでしょうか。配偶者の収入なども加味すると、どの年代も余裕のある家計運営であることがうかがえます。また気になるのは月々のローン返済額ですが、平均8万~9万円といったところ。

 

出所:総務省統計局『家計調査 家計収支編』(2022年)より作成
【図表1】 出所:総務省統計局『家計調査 家計収支編』(2022年)より作成

 

厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、日本のサラリーマン(男性・従業員規模10名以上)の年収は以下の通り。仮に男性だけの収入だとし、それで年間108万円の返済となると、返済負担率(年収に対する年間のローン返済額の割合)は20代後半で25.8%ですが、30代前半で22.2%。30代後半以降、現役時代は20%を割り込みます。

 

【日本のサラリーマンの平均年収】

「25~29歳」 4,185,300円

「30~34歳」 4,859,800円

「35~39歳」 5,456,800円

「40~44歳」 5,911,100円

「45~49歳」 6,273,400円

「50~54歳」 6,719,400円

「55~59歳」 6,660,700円

「60~64歳」 4,777,200円

「65~69歳」 3,833,700円

「70歳~」 3,421,700円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より

 

返済負担率の上限は35%。ただ、余裕のある返済を考えるなら20%前後と言われているので、平均的なローン返済世帯は、余裕のある家計運営を実現しているとともに、返済プランも余裕であることが伺えます。

 

ただ数値上は「余裕」ですが、実際はそうでもないようです。住宅ローン返済世帯、ローンの返済に対し「非常に負担感がある」と「少し負担感がある」と回答したのが、全国で63.0%と6割超え(国土交通省『令和3年度住宅市場動向調査』)。数字と実感はずいぶんとかけ離れたもののようです。