普通の会社員も「都心のタワマン」を買う時代
株式会社不動産経済研究所『首都圏新築分譲マンション市場動向2022年12月』によると、昨年12月の首都圏のマンション販売戸数は5,757戸で、前年同月比13.4%減。一方で戸当たりの平均価格は5,556万円、1平米当たり単価は86.8万円。前年同月比平均価格で172万円、平米単価で6.2万円のアップとなりました。
また価格帯をみていくと、23区内1.023戸のうち、「5,000万円未満」が20.23%、「5,000万円台」が16.61%、「6,000万円台」が11.14%、「7,000万円台」が7.14%、「8,000万円台」が6.84%、「9,000万円台」が4.99%。そしていわゆる「億ション」が29.43%。3戸に1戸が1億円以上という水準に、「東京で家を買うことは諦めた」という会社員が続出しているのもうなづけます。
そして億ションの代名詞といえば、超高層、20階建て以上のタワマン。昨年12月に販売されたのは13物件514戸が発売で、契約率は90.5%。全体の初月契約率は74.8%ですから、いまだタワマン人気顕在、といったところでしょうか。
タワマンの購入者といえば以前は富裕層。税金対策の名目でバンバン売れたといいますが、国税庁が目を光らせるようになったことで下火に。それでも好立地のタワマンは資産価値も高く、いまでも富裕層の間でタワマン人気は継続中。そもそも数億円するような超高価格のタワマンは、一般庶民では検討すらできません。
一方、1億円程度のタワマンをよく買うのは普通の会社員、とは最近よく聞くところ。超低金利だったこと、金融機関も融資に積極的だったことなどが背景にありますが、もうひとつが「共働き夫婦の増加」。夫婦で力を合わせたら、億ションだって夢じゃない、というわけです。
厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、40代前半の男性正社員(大卒)の平均年収は684万円、女性で546万円。夫婦合わせて年収は1,000万円超え。仮に余裕のある返済を考えて、返済負担率20%・金利0.5%・返済期間30年とすると、頭金3,000万円ほど用意すると、億ションが叶う計算です。さらに返済負担率を25%まで引き上げれば、頭金は1,500万円ほどでも億ションに手が届きます。
簡易的な計算、かつペアローンのリスクはあり、また大卒正社員同士というハイスペックな夫婦が「普通」なのかという議論はありますが、計算上、一般の会社員でも無理なく億ションを買うことはできるようです。