実質賃金の減少に止まることのない物価高……私たちの生活は苦しくなるばかり。そんななか、岸田総理による「資産所得倍増プラン」に、一部ブーイングが。みていきましょう。
平均月収39万円の日本のサラリーマン…資産所得倍増に「岸田総理、まずは現実を知ってほしい」 (※写真はイメージです/PIXTA)

2022年、資産を減らした人が増加…その理由は?

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査 2022年(二人以上世帯調査)』によると、金融資産*1の保有額は、平均1,291万円で前年から270万円ほどのダウン。中央値は562万円で、こちらも前年から108万円の減少でした。また金融商品*2を保有していない世帯は2.6%。こちらは前年から0.1%増となりました。

 

*1:定期性預金・普通預金等の区分にかかわらず、運用の為または 将来に備えて蓄えている部分とする。ただし、商・工業や農・林・漁業等の事業のために保有している 金融資産や、土地・住宅・貴金属等の実物資産、現金、預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えてい る部分は除く

*2:「金融資産」に「預貯金で日常的な出し入れ・引落しに備えている部分」を加えたもの

 

さらに金融資産保有世帯のうち、「1年前と比較して、金融資産残だが減った」と回答したのは、25.3%。4分の1の世帯にもなり、また昨年よりも4ポイント近く増加しました。

 

なぜ資産を減らすことになったのでしょうか。理由の内訳をみていくと、最も多いのが「定例的な収入が減ったので金融資産を取り崩したから」という切実なもので41.1%。続いて「株式、債券価格の低下により、これらの評価額が減少したから」が26.6%、「耐久消費財(自動車、家具、家電等)購入費用の支出があったから」が22.6%と続きます。

 

実質的な給与がマイナスになっていますが、実際に給与減に見舞われ、資産を取り崩さなければいけなかった人が、かなりの数にのぼったと考えられます。またそもそも50人に1人は預貯金もなく、いわば、その日暮らしという生活をしています。

 

そのような状況下、「投資による所得を倍増しよう!」と旗を振られても、「はぁ!?」と首をかしげるのも無理のない話です。

 

増税のインパクトが強かったからか、賃金アップの話題はどこか下火に感じるこのごろ。何とか物価上昇よりも高い賃金アップが実現して、私たちの生活が少しでも楽になることを願わざるをえません。