大学生活も後半戦。就職活動を本格化させて、希望業種で、希望職種で就職を目指す……大多数が選ぶ正社員への道。しかし「あえて非正規社員」を選ぶ人は、就職氷河期とされる時代でもいました。選択の理由はさまざまですが、なかには「自由」を口にする人も。そんな彼らのいまとこれからを考えていきます。
月17万円でも…あえて「非正規社員」の氷河期世代、2022年に知る衝撃の給与格差、2042年に知る驚愕の年金額 (※写真はイメージです/PIXTA)

2000年大学卒の氷河期世代…「あえて非正規社員」を選んだ人たちの、その後

このような調子で、就職氷河期でも「あえて非正規社員」の道を歩んだ人たちがいました。2000年大学卒でみていくと、正社員の初任給は19.7万円。同じころ、パート・アルバイトの平均時給は1,026円。前述と同じように、1日8時間、1ヵ月で22日働いたとしたら、16.9万円。平均値での単純計算で、月3万円ほどの差が生じますが、大卒であっても就職するのも大変な時期でしたし、いまよりも明るい未来を描けなかった時代でしたから、早々に大学卒業→就職、というレールから下りた人も珍しくなかったのです。

 

そんな彼らは大学卒業から20年あまり、2022年には45歳と、40代も後半戦に突入します。レールに乗った人と下りた人で、現在の状況を前述の厚労省の統計調査を用いて比べてみましょう。今回は、正社員と非正規社員でみていきます。

 

まず正社員。40代後半の平均給与は月45.5万円。結婚して、子どもが1人いるとすると、手取りは35万円ほどになります。また賞与を含めた年収は、748万円になります。

 

一方、40代後半、大卒、非正規社員の平均給与は月26.4万円。手取りは結婚して、子どもが1人いれば21.5万円、独身なら20.5万円ほど。賞与も含めた年収は365万円になります。

 

大学卒業から20年あまり。月の手取りにして10万円超、年収にして倍以上の給与格差が生まれていました。それでもなお「自由でいることのほうが良くない?」といえるでしょうか。ここまで差が生じると、「そんな青臭いこというな」と堂々といえそうです。

 

年を重ねるごとに広がっていく、レールに乗った人と下りた人の給与格差。この差は、いつまでもついてくると言っても過言ではありません。現在の統計調査に基づくものではありますが、仮に65歳まで正社員であり続けた人をみていくと、大卒の会社員の平均標準月額は56万円。厚生年金受給額の下記計算式にあてはめると厚生年金部分は15.4万円。国民年金が満額支給だとすると、月年金額は22万円になります(便宜上、②のみで計算)。

 

①加入期間が2003年3月まで

平均標準報酬月額(≒平均月収)×7.125/1000×2003年3月までの加入月数

②加入期間2003年4月以降

平均標準報酬額(≒平均月収+賞与)×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数

 

続いて、非正社員であり続けたとすると、大卒の非正規社員の平均標準月額は32万円。厚生年金受給額の計算式にあてはめると厚生年金部分は8.8万円になります。こちらも国民年金が満額支給だとすると、月年金額は15.3万円になります。

 

正社員との非正規社員の年金差は月6.7万円。年間80万円ほど、10年で800万円、30年で2,400万円の年金差になります。多くの人が老後は年金が頼り、という生活になりますから、そのような状況下、1年で80万円の差は大きな格差です。

 

これらはあくまでも現在の統計調査の数値を求めたもの。正社員だから、非正規社員だから、同じような結果になるとは限りません。また正社員でなくても稼ぐ術が色々と登場してきた昨今。そもそも「会社員でいることが失敗」と主張する人も。

 

ただもし「あえて非正規社員」であることを選び、後悔している人がいるならば、(年齢にもよりますが)リカバリーは可能。これから方向転換をして、将来の年金額額増加を目指すのも、手遅れではありません。