65歳定年企業も増えているが…いまなお定年は60歳が定番
「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」(高年齢者雇用確保措置)のいずれかの措置を講じるよう義務付けられています。現在は経過処置期間で、2025年4月から65歳までの雇用確保が義務となります。
厚生労働省『令和4年 高年齢者雇用状況等報告』によると、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は中小企業、大企業ともに99.9%。ほぼすべての会社員は、勤務先で65歳まで働くことのロードマップがみえている状況だといえるでしょう。
また65歳定年企業は、中小企業で22.8%、大企業で15.3%。また70歳以上まで働ける制度のある企業は、中小企業で39.4%、大企業で35.1%。さらに定年制そのものを廃止した企業は中小企業では4.2%、大企業では0.6%。人材確保が経営問題になりがちな中小企業のほうが、高齢者雇用については積極的のよう。また働く側としても、希望すれば年を重ねても働けるという状況は、何かと不安な老後を前に安心材料となります。
とはいえ、社会人になってずっと走り続けてきた会社員。できればひと息つきたいところ。その点「定年」があると、老後のライフプラン、マネープランをいま一度考えることも。「退職金をもらって、ちょっとゆっくりしたい」というのも本音でしょう。
会社員の給与は年齢と共に上がり続け、50代後半で平均月収(所定内給与額)51万円とピークに達します。年収では役職定年などもあり、50代前半の841万円と比べて10万円弱落ちるものの、給与面でピークのまま定年を迎えることができます。
そこで手にする退職金はいくらくらいなのでしょうか。日本経済団体連合会による『2021年9月度退職金・年金に関する実態調査』によると、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の大学卒・60歳定年(勤続年数38年)の退職金は2,243.3万円、高校卒(同42年)が1,953.0万円。いまどき転職が当たり前になってはいるものの、1社一筋で頑張ってきた大卒会社員であれば、60歳の定年とともに、2,000万円を手にすることができるのです。