文部科学省が10年ぶりに行った発達障害の児童生徒の調査。1クラスに3人は発達障害の子どもがいるという現状に、「理解が広がっている」という声とともに、当事者やその親からは将来を不安視する声も。みていきましょう。
小学生10人に1人が発達障害だが…あまりに安い「将来の手取り額」に焦る親たち「どう生きていけと?」 (※写真はイメージです/PIXTA)

発達障害の児童生徒…10年で急増と言われているが

文部科学省は特別な教育的支援を必要とする発達障害の可能性のある児童生徒の調査を、2012年以来、10年ぶりに行いました。「学習面または行動面で著しい困難を示す」と評価されてた児童生徒の割合は、小学校で10.4%、中学校で5.6%、高等学校で2.2%。

 

【「学習面または行動面で著しい困難を示す」生徒児童の割合】

小学校1年生:12.0%

小学校2年生:12.4%

小学校3年生:11.0%

小学校4年生:9.8%

小学校5年生:8.6%

小学校6年生:8.9%

 

中学校1年生:6.2%

中学校2年生:6.3%

中学校3年生:4.2%

 

高等学校1年生:2.3%

高等学校2年生:2.2%

高等学校3年生:2.1%

 

出所:文部科学省『通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果』より

 

今回の結果は、10年前と比較し、公立小中学校で2.3%増加。35人学級なら3人ほど該当の児童生徒がいる計算となります。これを受けて「発達障害の子ども、急増」とセンセーショナルに伝えるところもありましたが、「発達障害への理解が広がったことが要因」とする声も。ただこの調査、医師等による診断の結果ではなく、学級担任等による回答に基づくもの。なんとも評価しがたい結果となっています。

 

とはいえ、発達障害という言葉が広く知られるようになったんは事実。そのきっかけが2004年の障害者支援法の制定ですから、それから20年ほど。言葉が浸透するなか、「自分もそうなのではないか……」「もしかしたら我が子も……」と思い、医師の診断を受けるケースが増加。「発達障害の急増」の要因になりました。

 

ただ発達障害への理解が深まったかといえば難しく、その症状や具合は1人ひとり異なり、“そうでない人”にとっては理解が難しいというのも一因。この「1人ひとり異なる」ということの理解が広がれば、双方が困惑するケースも少なくなるかもしれません。