大学を卒業し、会社員になって30数年。振り返れば辛いことばかりだったけど、退職金を手にしたら、そんな苦労も忘れられる……そんな定年前でも、安心はできません。明日、必ず勤めている会社があるという保証はどこにもありません。もし会社が倒産したら、退職金はどうなってしまうのか、みていきましょう。
月収51万円・59歳大卒会社員、定年前に「会社が倒産」退職金2,000万円がゼロになる「恐ろしい顛末」 (※写真はイメージです/PIXTA)

退職金を受け取る前に会社が倒産…退職金を受け取ることは絶望的?

会社員としてピークのまま、2,000万円超の退職金を手にしようとしている、定年前の大卒会社員。しかし最後まで何が起こるか分からないのが人生。突然、会社が倒産! ということもないとはいいきれません。

 

中小企業庁によると、2022年11月の中小企業の倒産件数は581件で、前年比115%。また1月からの累計では5,822件で、前年比105%となっています。また国税庁によると、企業の10年生存率は6.3%程度だとか。勤務先が明日もある、というのは絶対ではないのです。

 

もし定年退職金をもらう前に、会社が倒産、退職金がゼロに……そんなことになったら絶望しかありません。

 

実際、そのようなことが起きたとしても、退職金を受け取る権利は残ります。会社の破産手続きが始まると、破産管財人となる弁護士が会社の債務や資産を整理し、未払いの給与や退職金が従業員に分配されるのです。

 

そこで安心かといえば、難しいところ。退職金の原資となる資産がなければ、退職金は支払いたくても支払うことはできません。債権回収によって資産が増えるようなことがあれば可能性はまだありますが、債権もなく、資産もなく、倒産……というケースでは退職金は諦めざるをえません。

 

ただ、会社が「中小企業退職金共済制度」を利用していれば、会社の倒産時に退職金を受け取ることができます。これは事業主が掛け金を納付することで、従業員の退職金が勤労者退職金共済機構から支払われる制度。まずは制度の利用の有無を確認してみましょう。

 

また会社の代わりに労働基準監督署や独立行政法人労働者健康安全機構が退職金を立替する「未払賃金立替払制度」を活用するという手も。すべての従業員が制度を利用できるわけではないので、利用条件等を確認してみましょう。

 

これらは、なかなか1人の従業員だけでできるものではないので、万が一、会社が倒産、退職金が……という場合は、専門家に相談するのが先決です。