会社の有力株としていち早く出世を果たし、高給を手にする会社員。このような人たちは「子どものために」を理由に、教育費が高額になりがち。知らず知らずに破綻のフラグが立っていることも珍しくありません。みていきましょう。
手取り45万円・30代後半で大企業の部長…20年後、エリート会社員を破綻に追い込む、子どもの「教育費総額」 (※写真はイメージです/PIXTA)

年収1,000万円超の会社員…教育熱心がゆえに気づかない破産の予兆

会社員で年収1,000万円超えとなると、大企業の部長クラス。厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、従業員1,000人以上企業だと「30代後半・部長」だと、月収は63.5万円、手取りにすると45万円ほどで、年収では1,000万円を超えてきます。30代で部長ですから、会社でもかなりの有望株。それに呼応するように高給取りとなりますから、「子どもには良い教育を」という余裕が生まれてくるでしょう。

 

【年齢別「大企業・部長クラス」の給与】

25~29歳:300,400円/5,090,800円

30~34歳:595,500円/8,905,100円

35~39歳:635,800円/10,009,200円

40~44歳:714,300円/11,508,100円

45~49歳:716,100円/11,959,700円

50~54歳:760,500円/12,861,400円

55~59歳:764,300円/12,763,000円

 

出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

※数値左より、月収(所定内給与)/推定年収。従業員規模1,000人以上企業

 

結婚、出産の平均値から考えると、30代後半というと、第1子が幼稚園くらい。子どもの教育プランも具体的に進みだすタイミングで、中学受験は当たり前、なかには小学校受験に挑戦、という家庭も出てくるでしょう。海外留学を視野に入れ早々に準備を始めるというケースも珍しくないでしょう。

 

さらにバイオリンに、バレーに、英会話に……さまざまな習い事も追加されて、教育費は高額になっていきます。ただ高給取り、という後ろ盾がありますから、膨らむ教育費にもしっかりと対応。多少生活が苦しくても「子どものため」を理由に、投資を続けていきます。

 

ただこのようなケースで心配されるのが、定年前に訪れる破綻の危機。高給取りの子どもの教育費は、大学受験前にどんどん膨らみ、家計を圧迫。貯蓄残高も減少の一途を辿るというのがお決まりのパターン。そのころ、親は50代前半〜後半で、本来なら老後を見据えて資産を拡大していく時期ですが、反対に資産を減らすという逆の動きをみせるのです。やっと子どもが社会人となり、親の務めが終わったころには定年。それにも関わらず、資産は限りなくゼロに近く、まさに破産寸前に追い込まれています。

 

子どもを言い訳にしている分、家計がひっ迫していることは気づきにくいもの。予兆にも気づかず、肩の荷が下りたところで、ようやく危機的状況であることを知るのです。子育てに熱心なことは大変良いこと。しかし度を過ぎると、身を滅ぼすことになります。