各金融機関が発表している数値をみていくと、50人に1人は住宅ローン破綻するといわれています。きちんと審査をクリアしているはずなのに、なぜ破綻という末路を辿ってしまうのでしょうか。みていきましょう。
手取り26万円・30代会社員…余裕の月返済額も住宅ローン破綻の末路「正直、何でこんなことになったのか」 (※写真はイメージです/PIXTA)

想定外の「給与減」に「夫婦関係の破綻」…住宅ローン破綻に陥る人の共通点

裁判所『司法統計』によると、2022年10月速報値で、自己破産件数は6,121件。そのうち自然人(法人に対する言葉で、個人を指す)は5,589件でした。破産件数事態、前年同月比96.9%と、コロナ禍からの経済回復で減少傾向にあるものの、もう返済はできないと自己破産を選択する人は後を絶ちません。

 

自己破産に追い込まれる理由はさまざまですが、以前から多いのが住宅ローン破産。住宅購入となると、その価格は数千万円。それを一括で、というのは難しいので、多くの場合、住宅ローンを活用することになります。何十年と分割で購入すれば、月々の支払いは賃貸住宅を借りるよりも安くなることも多いので、「これくらい返せるだろう」とたかをくくっていたら、ある日、返済が難しくなり、自己破産という選択をする……よく聞くパターンです。

 

もちろん、誰もが住宅ローン破産となるわけではなく、いくつかのパターンに分類されます。

 

まず収入減。住宅購入の際には、「今現在の収入はこれだけあるけど、これから給与も上がるし、大丈夫だろう」とローンを組みます。しかし勤務先が絶対安泰、ということはありえません。

 

住宅金融支援機構によると、コロナ禍1年目、最初の緊急事態宣言が出された2020年4月、コールセンターに寄せられた返済相談件数は669件ありました。前月は94件でしたから実に7倍。その後、5月489件、6月255件、7月146件と減少し、2021年度は毎月60〜70件ほどで推移。落ち着きを取り戻したようにみえます。

 

しかし2020年2月には、すべてのて相談件数が15件だったという状況から鑑みると、コロナ禍で勤務先が業績不振、それに伴い給与減やリストラなどで、毎月の返済が苦しくなるというパターンがまだまだ続いていると考えられます。

 

また収入減は会社の業績だけではありません。病気やケガにより働けなくなったとか、転職せざるを得なくなり収入が減った、というのもよくあるパターン。健康が当たり前と考え、万が一の時に力となる保険に未加入ということもよくあるケースです。

 

給与減と同じくらい多いのが「離婚」。夫婦共働きでダブルインカムを前提に住宅を購入したものの、夫婦関係が破綻。離婚し家族は出ていったが、住宅ローン負担だけが残る、というパターンです。ローン負担だけならまだいいのですが、子どもがいれば養育費もかかるでしょう。マイホームという幸せも絶対ではない、ということです。