(※写真はイメージです/PIXTA)

お金持ちになるには、どうすればよいのでしょうか? 「実際のお金持ち」たちの共通点から、その方法を探っていきましょう。篠田丈氏(株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズ 代表取締役会長)が解説します。

一般人の想像とはまるで違う、「お金持ち」たちの実態

皆さんはお金持ち・富裕層という言葉から、どのような人物を想像されるでしょうか。もしかしたらテレビドラマで観るような、豪奢なブランド品に身を包み、シャンパングラスを片手に船上パーティーを楽しんでいるというようなイメージを抱かれている方もいるかもしれません。しかし、私自身たくさんのお金持ちと付き合いがありますが、そのようなことをしている人は見たことがありません。

 

こういったお金持ちのイメージは、作られたイメージだったり、お金持ちのお金の使い方だったりの話であって、どうやってお金持ちになるのか、どういった人がお金持ちになるのかには関係ありません。本稿ではこれまでに私が出会ってきたお金持ちの特徴について解説します。

 

一言に富裕層と言っても、厳格な定義は存在しません。一般的に、1億円以上の金融資産を持っている人と定義されることもありますが、退職金をもらった人でも金融資産1億円を超えることはあるでしょう。これは多くの方のイメージされるお金持ちとは違うのではないでしょうか。今回の記事では、私が本当のお金持ちだと考えている5億円の資産を継続して保有している人(一発当ててすぐに消えていく人を除く)に焦点を当てることにします。

お金持ちの共通点①お金を追わない

さて、富裕層にも一般人と同様、様々なタイプがいます。富裕層を括って解説する記事など多数存在しますが、実際にはそれほど簡単に括ることはできません。当然、並外れて働く人もいれば、いい加減にしか働いていない人もいますし、倹約家もいれば浪費家もいます。ただ、一代で財を成した多くの富裕層は、若いころに死ぬほど働いているケースが多いです。そして実際にお金持ちになっている人は多くの場合、ビジネスで成功している人たちです。

 

このようにビジネスで成功するケースでは、大きな組織の中でトップに上り詰める場合もあれば、起業して成功する場合もあります。ただ、いずれにも共通しているのは、お金を追うのではなくビジネスを追っていて、その結果としてお金がついてきているということです。

 

たとえば、大手ネット証券を立ち上げたある社長は、20~30代の外資証券会社時代、普通の人には考えられないほどは働いていました。激務をもってして知られる外資金融のなかでさえ突出して働いていたといいます。そしてネット証券会社を起業してからも、世の中の役に立とう、金融のサービスを変えてやろうといったモチベーションで、決してお金儲けありきではなかったといいます。

 

他にも、ユニクロ(株式会社ファーストリテーリング)の柳井氏は安くていい衣料品を提供することを目的にしていて、お金儲けが第一ではありませんでした。

 

一方でお金を追う人はお金持ちにはなれません。儲かるビジネスは何か、どこに投資すべきかとお金儲けそのものを目的に一生懸命考えているような人たちは、小金持ちにはなっても、本当のお金持ちにはなれません。

お金持ちの共通点②時間に効率的

お金持ちになる人に共通しているもう一つの点は、自分の使う時間に対して効率的であろうとしている点です。一般的に専門分野でプロになるまで10000時間かかるということが言われます。これを仕事に適用すると、1日8時間を一年で200日働くと仮定して6.25年の時間がかかります。しかしこれを一日16時間、一年で300日働くと仮定すると、2.08年まで短縮されます。4年早くプロになれれば、その分昇給も期待できます。極端な例と思われる方もいるかもしれませんが、これが時間の効率を意識するということです。お金持ちになるような人には、このように時間を意識できる人が多いです。

 

また、効率的なのは時間だけではなく、リソース全般に言えます。年収500万円の人がいたと仮定しましょう。なんとかやりくりして100万円を投資に回せたとします。この100万円を10%の年率で10年間運用できたとしても、約260万円です。これなら自己投資をして年収1000万円を目指す方がはるかに多くを得られるのではないでしょうか。あるいは住む家についても、10万円の家賃で往復2時間の通勤をするよりも、15万円の家賃で通勤時間が短縮されれば、満員電車に揺られていた時間を使ってより多く働くことができ、プロになるための経験を積むことができます。これも自己投資の一つと言えるでしょう。私の周りで成功してお金持ちになった人には、こういった考え方をする人が多いです。

お金持ちの共通点③お金に対する嗅覚

他にも、富裕層に共通する点として、お金に対する嗅覚が鋭く、リスクテイクをするという傾向があります。お金に対する嗅覚というのは、普段から世の中でどのようにお金が回っているのか、というビジネスの視点を持っているということです。反対に、そういう視点を持っていない人は好きか嫌いか、面白いか面白くないかといった軸で判断します。

 

たとえば、冒頭に紹介したネット証券の創業者は、外資金融での地位を蹴って、当時は疑問視されていたネット証券の会社を創業しています。これからネット証券が必要とされる時代が来るという、時代の流れを読む嗅覚があったからでしょう。こういった嗅覚は場数を踏むことと、普段からの考え方で培われるものです。

 

まとめると、お金に対する嗅覚は時代の流れを読む力と言えます。そして、わかっていても動かない人は多くおり、そういった人はお金持ちになれません。リスクテイクをして動けることもお金持ちに共通しています。

まとめ

今回は富裕層の実態について解説しました。お金持ちというとメディアなどでは華やかなイメージで語られることが多いですが、実際に私が知っているお金持ちは皆お金ではなくビジネスを追いかけていて、そのために時間を効率的に使っています。また、お金持ちになっても、それまでと同様に働いている方ばかりです。本稿が皆様の、お金持ちの実態についての理解に繋がれば幸いです。

 

 

篠田 丈

株式会社アリスタゴラ・アドバイザーズ 代表取締役会長

 

1985年に慶応義塾大学を卒業後、日興証券ニューヨーク現地法人の財務担当役員、ドレスナークラインオート・ベンソン証券及びINGベアリング証券でエクイティ・ファイナンスの日本及びアジア・オセアニア地区最高責任者などを歴任。その後、BNPパリバ証券で株式・派生商品本部長として日本のエクイティ関連ビジネスの責任者を務めるなど、資本市場での経験は30年以上。

2011年4月よりアリスタゴラ・グループCEOとして、日本・シンガポール・イスラエルの拠点から、伝統的プライベートバンクと共に富裕層向け運用サービスを展開、また様々なファンドを設定・運用、さらにコーポレートファイナンス業務等を展開している。

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