妊娠・出産は国の公的保険が適用されないため、基本的には全て自己負担になります。「それでは大変な費用がかかってしまう!」と心配する必要はありません。日本にはそれらの費用をカバーしてくれるさまざまな公的制度があります。今回は、ファイナンシャルプランナーの郡洋子さんに妊娠・出産に関する費用と給付金についてお話を伺いました。
平均出産費用、東京と鳥取で23万円もの差があるが…妊娠・出産で「払うお金」と「もらえるお金」【1級FPが解説】

妊娠・出産したすべての女性にかかる費用

①妊婦健診費

妊娠したかどうかを調べるために産婦人科で検査をし、そこで妊娠判定がされると、妊娠時期に合わせて妊婦健診が始まります。選ぶ病院や、妊婦さんと赤ちゃんの状態によっても健診費用は異なりますが、毎回5,000〜8,000円ほど。妊婦健診費は自治体から助成が受けられるものの、初回の妊娠判定検査は適用外なので、この分は全額自己負担になります。

 

②入院・分娩費用

正常分娩の場合は全額自己負担になりますが、その額は都道府県で差があります。たとえば、最も高い東京都で平均62万円、最も低い鳥取県で平均39万円。こちらは選ぶ病院によっても大きく変わってきます。

 

③ベビー用品費

産後すぐから使う赤ちゃんのお世話グッズとして、オムツやお尻拭き、ベビーウェアや肌着などがあります。それぞれ高額ではありませんが、頻繁に買うことになるので、必ずかかる費用として考えておきましょう。

 

個人によって差が出る、出産に関する費用

健康状態や出産への考え方などによって、実際にかかる費用は大きく変わります。ここでは、すべての女性にかかる費用以外で人によって自己負担額に差が出る項目をピックアップしました。

 

①出生前診断

お腹の中の赤ちゃんの体に異常や染色体疾患がないかを調べる検査で、精度やリスク、検査ができる妊娠時期によっていくつかの方法があります。費用にも差があり、血液検査で2万〜3万円程度、羊水検査で6万〜20万円ほどかかります。

 

②入院個室代・差額ベッド代など

入院に個室や少人数部屋を希望する場合は、入院分娩費にプラスで個室料金や差額ベッド代がかかります。選んだ病院によって大きく変わってくる部分なので、しっかり確認しましょう。

 

③その他(ベビー用品、内祝いなど)

ベビーベッドや抱っこ紐、車のベビーシートなど、あると便利なお世話グッズは、選び方で差が出る部分。やりくり次第で上手に抑えることも可能です。また出産祝いなどをいただいた場合は内祝い分も考えておきましょう。

 

④不妊治療費

ここまでのものとは少し異なりますが、妊娠にまつわる大きな費用として不妊治療費も外せません。人工授精で1回あたり3万~5万円、体外受精で50〜80万円と非常に高額ですが、2022年4月から保険が適用になったので自己負担額が大幅に軽減されるようになりました。