妊娠・出産は国の公的保険が適用されないため、基本的には全て自己負担になります。「それでは大変な費用がかかってしまう!」と心配する必要はありません。日本にはそれらの費用をカバーしてくれるさまざまな公的制度があります。今回は、ファイナンシャルプランナーの郡洋子さんに妊娠・出産に関する費用と給付金についてお話を伺いました。
平均出産費用、東京と鳥取で23万円もの差があるが…妊娠・出産で「払うお金」と「もらえるお金」【1級FPが解説】

【コペル育児ワールド】
今すぐ子育ての役に立つ「情報サイト」ほかの記事も読む>>>

(外部のサイトに遷移します)

育休を取得した男性がもらえるお金

育児休業は男性でも取ることができ、女性と同じ条件で給付金を受け取ることができます。これまでの育児休業は原則1回しか取得できないため、まとめて長期間休むことが難しい方には取りにくいという声もあがっていました。そこで2022年の制度改正で新設されたのが「産後パパ育休」です。

 

産後パパ育休とは、産後8週間以内に28日間、2回に分けて取得することができます。途中で1回仕事に復帰できるので、2週間まとめて休みにくい男性にも取りやすい制度です。また、その後の育休も男女とも2回の分割が認められるようになりました。つまり男性の場合は合わせて4回の休業に分けることができます。さらに産後パパ育休中は、休業中であっても限られた範囲で働くことが認められ、ますます柔軟に休業できるようになりました。

 

男性の給付金については女性と同じく、育児休業開始から6ヵ月間は給料の67%、以降は50%です(上限あり)。産後パパ育休は原則休業の2週間前までに、育児休業は1ヵ月前までに会社に申請する必要があります。

 

【コペル育児ワールド】
今すぐ子育ての役に立つ「情報サイト」ほかの記事も読む>>>

(外部のサイトに遷移します)

子どもに関するマネープランは妊娠前に

妊娠・出産にかかる費用は、お住まいの地域や選ぶ病院、妊婦さんや赤ちゃんの状態によってさまざまです。残念ながら、ここにあげたすべての給付金を取得しても、それだけで何もかもカバーするのは難しいのが現実。ですから最低でも50万円ほどは事前に準備できると安心かもしれません。

 

負担を少しでも軽くするために、ベビー用品などはお下がりやレンタルを利用することもおすすめ。また妊娠中のトラブルや異常分娩に備えて、医療保険の見直しをしておくのも一つの方法です。ちなみに民間の保険は妊娠中の契約になると、その出産は保障の対象外になるので、妊娠前に検討しましょう。

 

紹介したように、日本には妊娠・出産の費用をカバーするための制度が色々と用意されています。それらを上手に利用するためには、制度内容をよく知っておくことが大切です。さらに健康保険や雇用保険の加入が条件になる制度も多いので、出産を考えている方は、今後の仕事選びにも参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

妊娠・出産に限らず、子育てにはお金がかかるもの。家族全員の人生をトータルで考えたマネープランを妊娠前から準備できるといいですね。

 

【今回話を伺ったのは】

郡 洋子さん:1級ファイナンシャルプランナー

1級FP技能士/MDRT会員 早稲田大学卒業後、商社の海外営業・外資系生命保険会社を経て独立系のファイナンシャルプランナーに。保険活用を得意とするFPとして、保険や家計の見直しをはじめ、ライフプランニングや資産形成、相続や税務などの相談に乗っている。一児の母。