(※写真はイメージです/PIXTA)

2022年4月19日、いわゆる「タワマン節税」で最高裁判決がありました。一審、二審を経て、最高裁で国税側の勝訴が確定しました。富裕層の節税対策に待ったがかけられることになりました。「富裕層を熟知した税理士」の芦田ジェームズ敏之氏がこれからの「資産運用・税金対策」を解説します。

富裕層は10年以上で「税金対策」準備を

富裕層の節税対策の相談は当社にもよくきます。たとえば、ドバイに移住して、会社を設立するというのはどうかといったものもあります。しかし、国税庁はよく考えていますから、国外転出時課税制度や、海外で法人を設立したら日本で合算する外国子会社合算税制などをつくっています。節税目的だけのそうした行動は、やはり経済合理性がなく、国税庁が厳しく見ています。

 

この12月下旬には2023年度税制改正大綱が発表される予定です。これまで生前贈与のルールが大幅に変更されることが噂されてきました。現状では、生前贈与は亡くなる3年前までさかのぼって相続財産に持ち戻し、相続税が課せられますが、ルール改正によって、その持ち戻し期間が10年程度前まで延長される可能性が高いようです。これは節税目的の不動産投資も10年くらい前にやるのであればいいというメッセージではないかと考えています。

 

日本人は総じてキャピタルゲインよりもインカムゲインを好みます。たとえば、父親が亡くなって3000万円や5000万円、1億円という現金が遺産として残されても、家族はピンときません。そういう大金にはリアリティーが感じられないからです。

 

これまで株式投資などを行っていたのであれば別ですが、投資のことをまったく知らないと、金融機関の口車にのせられて、仕組み債などよくわからない投資商品を買わされたりします。その後も買い替えなどをすすめられ、手数料なども含めて、あっという間に1億円が8000万円とか7000万円とどんどん目減りしていては大金を残した意味がありません。

 

家族に3000万円、5000万円、1億円残すのよりも、毎月の生活費として月々30万円が入ってくるような仕組みをつくったほうがよいと私たちは考えています。30万円であればリアリティーがあります。

 

自分が死んだあと、たとえば残された家族に年金10万円が入るほかに、生活費としてあと20万円足りないのであれば、それをカバーする20万円が入ってくるような投資プランを考える。年間240万円という形でもかまいません。

ただ、そういう商品はないので、プランニングして用意するしかありません。当社はそれが大事だと考えており、そこに力を入れています。ですから当社は「資産運用×税金対策」というポリシーにしています。単なる税金対策ではなく、資産運用が非常に重要です。

 

ただし、日本は相続税が高いので、先ほど述べたように長期で考えて、国税庁に睨まれないように、10年くらい前から資産運用を始めることが大切になります。

 

芦田ジェームズ敏之氏

税理士法人ネイチャー 代表税理士

 

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