(※写真はイメージです/PIXTA)

コロナ禍に続き、円安、株安、物価高、さらに長引くロシアとウクライナの戦争…。日本経済だけでなく、世界経済が大混乱に陥っています。企業経営者、個人はどのように対処していけばいいのでしょうか。累計で10,000件を超える“富裕層を熟知した税理士”・芦田ジェームズ敏之氏が解説します。

「Wエンジン戦略」でリスク分散を図る

資産運用や資産防衛を考える時、税金を考慮することが重要です。税金を考慮することで手残りを増やせるため、毎年の納税対策から、将来的な納税対策、さらには資産増加と不況対策を行い、できるだけ多くの財産を次世代に残すための方策が必要になります。

 

そこで弊社独自の「ネイチャー式プランニング」として、「ITⅬ方式」による税金対策・資産運用について、前回、ご説明しました。「Income」(収益)、「Tax」(優遇)、「Leverage」(倍率)の3つを駆使することで、よりよい資産運用を可能にするという独自の方法です。

 

今回は、「ネイチャー式プランニング」の中の「Wエンジン戦略」についてご説明したいと思います。これは簡単にいうと、本業のほかにもう一つ別の収益源を持ち、2つのエンジンで稼ぐというものです。収益源が本業だけだと、その事業が傾いた場合、企業であれば経営が成り立たなくなる危険があるからです。もう一つの収益源(エンジン)があれば、落ち込みを補ってくれます。

 

具体例を見てみましょう。飲料大手のサッポロホールディングスの本業はビールをはじめとする酒類や食品飲料です。しかし、実際の収益構造を見ると、営業利益(セグメント別)の半分以上を不動産(恵比寿ガーデンプレイスなど)が占めています。

 

同様に、TBSホールディングスも本業のテレビ(メディア)事業やライフスタイル事業で稼ぎ出す営業利益よりも多くを不動産(赤坂サカスなど)で得ています。松竹も、主力の映像関連よりも多くの営業利益を不動産から生み出しています。

 

このように大手企業も資産の分散による運用・節税に取り組んでおり、本業が縮小傾向にある場合でも安定的にリターンを得ているのです。

 

もちろん、このWエンジン戦略は法人だけではなく、個人にも有効です。前回の「ITⅬ方式」で、富裕層の個人に対して「実物資産」への投資によるインカムゲインを推奨していることをご説明しました。具体的には、税効果を含めたハイリターンでローリスクな投資対象として国内不動産や太陽光発電などですが、実物資産に限らず、株式投資でもかまいません。

 

ただ、不動産は借り入れが使えて、相続の時に評価が低いというメリットがあるため、不動産を活用する人が多いというのが実状です。理論的には有価証券でも同じです。

 

Wエンジン戦略で最も重要なポイントは、本業とは関係のない、リンクしない業種や分野に投資するということです。サッポロ、TBS、松竹は不動産事業から大きな収益を得ています。自社の事業とリンクするものに投資した場合、成功した時はいいのですが、失敗した時はすべてがダメになる可能性が大きいからです。

 

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