自分らしくのびのびと成長してほしいけれど、人への思いやりやマナー、社会のルールもきちんと身につけさせたい……。その場合、どのようなことに気をつけて、どう子どもに教えたらいいのか迷うことも多いものです。そこで、マナー講師として活動する中で、キッズマナーも教える杜巳緒 咲矢香さんにポイントをお伺いしました。
小学生までに身につけさせたいマナー&ルール…子どもにどう教える?【マナー講師が解説】

ルールを守らせたいときほど落ち着いて話す

病院やお店の中で走る、道路に飛び出すなど、子どもにやめさせたい行動もいろいろあるでしょう。そんなとき、子どもに言って聞かせたいばかりに強い口調になったりしていないでしょうか。

 

いきなり飛び出したら、「こら!」みたいに声を荒らげたりするのも無理はありませんが、注意されるようなことしたとき、子どもはそれが悪いことだとわかっていたりします。そうすると余計に楽しくなって、さらにふざけてしまうことがあります。

 

ですからきちんと伝えたいときほど、落ち着いて淡々と伝えることです。あるいは、子どもの気持ちを逆手にとって話すのも一つの方法です。たとえば大きな声を出してほしくないなら、「アリさんの声できるかな?」と小声で話してみたり、座っていてほしいなら、「座ってできることで何がしたい?」と聞いてみたりするのです。

 

振り返ってみると、子どもにじっとしていてほしいのは、大人が食事を楽しみたいとか、おしゃべりをしたいという“大人の願望”を叶えたいからということはないでしょうか? そんなとき、子どもは手持ち無沙汰になってしまいます。そこで大切なのは子どもも1人の人間として尊重し、こちらの状況を伝えながら子どもの話も対等に聞くこと。そうすると一方的ではなく双方向の会話ができるようになり、子どもも納得しやすくなるでしょう。

マナーを守るのは「かっこいい」こと

子どもに興味を持たせるには、「秘密の話があるから、特別に教えるね」とこっそり耳打ちするようにしたり、さらに「これは当たり前のことなんだよ」という態度で話したりすると、わくわくしながら興味津々でやってくれます。

 

また、子どもはかっこいいことや正しいことが大好きです。ですから子どもにマナーを教える時も、「かっこいい」という観点で伝えると効果的です。「あの人、ちゃんとルールを守ってかっこいいね」、「道路にゴミを捨てるのはかっこ悪いね」という言い方をすると伝わりやすいのです。

 

ただし、子どもに何かを聞かれてわからなかったときには、ごまかしたり、適当に答えたりせずに、「ママもわからない」と答えること。そして、「わからないから一緒に調べよう」と言えば、自分で考える子になっていくでしょう。

 

親も子どももみんな違いますから、教え方もこれだけが正しいということはありません。マナーを守ることは窮屈なことではなく、むしろ自分の個性を生かして、生きやすい環境を作ることにつながります。そうすると人に恵まれ、人生がより豊かになっていくはずです。難しく考えすぎず、笑顔とともに少しずつ教えていきましょう。