(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は2022年11月25日、衆議院予算委員会で、立憲民主党の泉代表の質問に答え、EV(電気自動車)の「走行距離課税」について、現段階での導入に否定的な考えを示しました。走行距離課税はそもそも鈴木俊一財務大臣が10月20日の参議院予算委員会において、導入の余地があると言及し、批判を浴びたものです。本記事では日本の自動車関連の税制とその問題点について、走行距離課税にも触れながら解説します。

自賠責保険、車検手数料も理不尽な値上げ

不合理がまかり通っているのは、自動車関連税制だけではありません。自賠責保険、車検手数料においても、問題点が指摘されています。

 

まず、自賠責保険については交通事故が減少しているにもかかわらず、2023年に保険料の値上げが決まっています。

 

その背景には、財務省が、自賠責保険の運用益を一般財政に流用したまま、返済を怠ってきているという事情があります。財務省の失態を国民に尻ぬぐいさせるものです。詳しくは2022年11月18日の記事「『また搾取か!』自動車ユーザーの悲鳴…『自賠責保険料値上げ』で財務省の失態を国民に転嫁する理不尽」をご覧ください。

 

また、車検の手数料については、デジタル化により業務が効率化されるにもかかわらず、値上げが行われる予定になっています。

 

そもそも、EVに対する走行距離課税が問題視されたのは、鈴木財務大臣が10月20日にEVの走行距離課税導入の可能性に言及したからです。その際の理由付けは「EVは車体が重いので道路に負担をかける」というものでした。これは、廃止されたはずの道路特定財源を復活させようというのと同じです。また、自動車重量税と存在意義が同じ税金をもう一つ設けるという「二重課税」の問題があります。

 

財務大臣がこのような発言をするのは、EVにはガソリン税のような税金がないから、代わりの税金を創設しなければ、という視点しかないからです。

 

そこには、本来税制において考慮されるべき課税の公平性、正当性、税制全体としての整合性という観点が完全に抜け落ちています。

 

いざとなれば、道路特定財源の一般財源化の際と同じように、何らかの名目を設け、存在意義のすり替えすら行い、ドライバーから搾り取ればよいと考えているとみられても仕方ありません。

 

そのような発言を行った鈴木氏を財務大臣に任命した責任は、岸田首相にあります。したがって、岸田首相は、現時点での走行距離課税の導入について端的に否定するだけでなく、内閣の長として、鈴木財務大臣の発言について総括するべきであったといえます。

 

政府・国会は、現行の自動車関連税制について抜本的な検討を行い、存在意義が明確で公平な、国民・自動車ユーザーにとって納得感のある制度を構築することが求められています。

 

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