学校を卒業以来、ひたすら頑張ってきた会社員。60歳で定年を迎えるも、最近はさらに会社員を続けられるように変わってきています。しかし「この先をゆっくり考えたい」と、ひと息つく人も珍しくありません。その場合、退職金はあるものの収入はゼロになるので、できたら「失業保険」をもらいたいと考えますが……みていきましょう。
大卒・大企業勤務の会社員、60歳定年「退職金2,000万円超」でも「失業保険」をもらいたい (※写真はイメージです/PIXTA)

60歳定年退職でも「失業保険」はもらえるのか?

いまは企業の7割が「60歳」を定年としつつ、雇用形態は変わるものの、希望があれば65歳まで働くことができる環境が整いつつあります。定年となった企業でそのまま働くか、それとも新天地を目指すか、60歳定年を機に完全リタイアするか……選択肢はいろいろです。

 

少し、ゆっくり考えたい……という人も多いでしょう。しかし年金受給は原則65歳ですから、収入として得られるものはできるだけ欲しいものです。そこで忘れてならないのが、雇用保険からの給付です。

 

雇用保険は離職したときに給付金を受けられる制度で、失業保険とも呼ばれているもの。正しくは、基本手当といわれています。

 

失業は転職などの自己都合や、倒産などの会社都合などあり、実際に失業保険のお世話になった人もいるでしょう。しかし定年退職は失業なのか……疑問が残るところです。

 

結論からいうと、定年退職も失業のひとつのカタチ。失業保険を手にすることができます。ただし「離職の日以前2年間に12か月以上雇用保険に加入していること」「失業後も働く意欲や就職できる能力があり、求職活動を行っていること」が条件。60歳定年後に完全リタイアを決めて何もしていない人は、失業保険給付の要件には当てはまらない、ということになります。

 

これまで1つの会社で働き続けてきた人は失業保険とは無縁だったでしょうから、いつから、どれくらいもらえるのか、まったく分からない、という人も多いでしょう。

 

定年退職の場合、ハローワークで求職申込みをした日=受給資格が決定した日、から7日間の待期期間を経て支給がスタート。基本手当の所定給付日数は、被保険者期間が20年以上であれば150日です。

 

失業保険の給付額は、1日あたり「賃金日額×所定の給付率」で計算され、60歳以上65歳未満の給付率は45~80%、上限額は7,177円です(2022年8月1日~)。平均的な大卒の元会社員であれば、上限を超えるので、単純計算、最大107万円ほどを手にすることになります。また失業保険は失業状態にある間、4週ごとに失業認定を受ける必要があり、要件を満たさなくなったり、就職が決まった場合は給付はなくなります。

 

ちなみに、65歳を超えると、同じように定年退職であっても失業保険はもらえません。失業保険の代わりに高年齢求職者給付金を受給できるようになります。

 

このように60歳定年後、求職活動をするのであれば失業保険を受給できます。もらえるものはきちんともらって、今後のことをゆっくりと考えていきましょう。