Aさんに立ちはだかった「再就職の壁」
預金額の減少に危機感を覚えたAさんは、奥様の症状が改善してきたことに加え、周囲の助言もあったことから、奥様を日中リハビリ施設に入れ働くことにした。
しかし、現実は厳しかった。希望の仕事はなかなか見つからず、パートタイムの仕事をすることに。年収は離職前の10分の1以下に減少した。
「自分の年金まではあと3年、妻の年金はあと6年後……娘や息子にはそれぞれの生活があるし……」とAさん。「子供たちには迷惑はかけられないと『大丈夫だよ』と言ってきたが、いよいよ援助を頼まなくてはならなくなるかも」と頭を抱えた。
介護離職後の就職状況(再就職率・再就職までの期間)
厚生労働省の「仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査」によると、介護で職を離れてから仕事ができていない人は20%以上いることがわかる。再就職をしている人は半数以上いるが、すぐに再就職できたわけではない。
また、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、以下のようなデータが出ている。
男女ともに再就職までには1年以上かかっており、1ヵ月未満で再就職できた方はわずかだ。以上から、「介護離職からの再就職は難しい」ということがデータからも読み取れる。