“介護破綻”を避けるには「支援制度」を活用
「介護を理由に仕事を辞めないほうがよかった、給料が大幅に下がっても仕事を続けるべきだった」と悔やむAさん。いま日本には、Aさんのような「介護離職」を防ぐためのさまざまな支援制度が整っている。
1.介護休業
原則として「要介護状態」の家族を介護する会社員などは、育児・介護休業法に基づき、「介護休業」を取得することができる。
2.介護休業給付金
介護休業を取得した雇用保険の被保険者(65歳未満の一般被保険者、65歳以上の高年齢被保険者)は原則、「介護休業給付金」を受給できる。給付額は原則として、休業開始前の給与水準の「67%」。
ただし、休業中に給与(介護休業の期間を対象とする分)が支払われた場合、給付金は減額・または不支給となる場合がある。
※介護休業給付金には、上限額および下限額あり。
※同一の対象家族について、介護休業給付金を受けたことがある場合でも、異なる要介護状態で再び介護休業を取得したときには介護給付金を受給できる。
※ただし、同一の対象家族について受給できる日数は通算93日まで。
3.障害年金
事故や病気で障害を負い、十分働けなくなってしまった時に受給できる「障害年金」。障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があり、その程度や障害を負うまでの働き方などにより受け取れる額が変わる。
4.その他の制度
厚生労働省の資料では、「介護に直面しても仕事を続ける意識が重要」としている※。
※ 厚生労働省 介護離職ゼロ ポータルサイト(mhlw.go.jp)
政府も「介護離職ゼロ」を掲げ、介護の受け皿の拡大や、介護と仕事の両立が可能な働き方の普及などを進めている。
自身が介護に直面した際には、上記に挙げたような支援制度を積極的に活用できないか検討することが重要である。地域包括支援センター(各市町村が設置)や、ケアマネジャー(介護支援専門員)などと相談し、介護保険のサービスを上手に利用しよう※。
※ 参照:厚生労働省 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(mhlw.go.jp)