決算で一気に最大300万円を経費に落とせる!「少額減価償却資産の特例」とは?そのしくみと活用上の注意点

決算で一気に最大300万円を経費に落とせる!「少額減価償却資産の特例」とは?そのしくみと活用上の注意点
(※画像はイメージです/PIXTA)

決算期・年度末が近づいてくると、多くの経営者・個人事業主の方が、節税対策として経費に落とせるものがないか、いろいろと模索することになります。そんなとき、使いようによっては大きな効果を発揮する方法が「少額減価償却資産の特例」です。その内容と、活用を考えるうえでの注意点について、わかりやすく解説します。

少額減価償却資産の特例とは

少額減価償却資産の特例とは、青色申告を行っている中小企業・個人事業主が利用できる税制優遇措置です。

 

適用期間は2024年3月31日までとなっています。ただし、これまでも2年間の時限措置として行われながら、延長が繰り返されてきました。今回も、2022年3月31日が期限だったのが、2年間延長されたものです。

 

「1個あたり30万円未満」・「総額300万円以下」の、みずからの事業に使用する「減価償却資産」を購入した場合に、その購入代金額の全額を、当該年度の経費に算入してよいというものです。これは「減価償却」の例外です。

 

なお、「1個当たり10万円未満」の少額減価償却資産はこれに関係なく「消耗品費」として全額を一気に経費計上することができます。

 

◆「減価償却資産」「減価償却」とは

「減価償却資産」とは、消耗品を除いた、事業に用いられる資産を広くさします。建物・建物附属設備、機械装置、器具備品、車両・運搬具などです。

 

そして、「減価償却」とは、減価償却資産の購入代金額を、複数年度に分けて費用として計上していくことをいいます。

 

購入した年度に一気に計上せず、その物が事業に使用されて収益を上げていくにつれ、物自体の使用価値が減っていくと考え、減価分を順次、複数年にわたって経費化していくのです。何年で償却するかは、減価償却資産の種類ごとに細かく「法定耐用年数」として定められています。

 

なお、土地は減価償却資産にあたりません。なぜなら、土地自体の価値(市場価値ではなく物としての使用価値)はどれだけ使用しても減ることがないからです。

 

また、減価償却資産は上に挙げたような形のある資産(有形減価償却資産)だけではありません。「ソフトウェア」等の形のないものも、減価償却資産に含まれます(無形減価償却資産)。

 

これらも、有形減価償却資産と同様、陳腐化していくので、減価償却資産として扱われるのです。もちろん、「1つ30万円未満、総額300万円以下」の要件をみたせば、少額減価償却資産の特例の対象となりえます。

 

◆少額減価償却資産の特例を利用するメリット

少額減価償却資産の特例のメリットは、一気に全額をその年度の損金にできるということです。

 

すなわち、本来の減価償却は、先述した通り、その資産ごとの「法定耐用年数」にしたがって複数年にわたって費用計上していくしかありません。しかも、「月割り」でしか計上できません。

 

よく、「決算対策」と称して高級車を購入する経営者がいますが、決算期ぎりぎりで購入してもせいぜい1ヵ月分しか費用計上できないのです。

 

これに対し、少額減価償却資産の特例を使うと、その資産を購入して使用開始した年度に、しかも月割りでなく一気に、全額を費用計上することができるのです。

 

◆少額減価償却資産の特例を利用できる中小企業・個人事業主の範囲

少額減価償却資産の特例を利用できるのは、原則として以下の要件をみたし、青色申告をしている中小企業・個人事業主です。

 

・資本金・出資金の額が1億円以下

・常時使用する従業員の数が500人以下

 

この要件は、かなり多くの中小企業、個人事業主がみたすことになります。なお、2020年3月31日以前は従業員の人数の要件は「1,000人以下」でしたが、同年4月1日以降は「500人以下」に引き下げられています。

 

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