介護が必要になったら…「子どものいない夫婦」の老後不安
ときに嫉妬の対象となりやすい「子どものいない夫婦」ですが、その根底にあるのはやはり経済的な余裕。前出のように結婚持続期間15〜19年の夫婦ということで、40代後半の「子どものいない夫婦」(共働き)について考えてみましょう。
まず夫婦ともに正社員とすると、男性の給与(所定内給与額)は平均月39.0万円で、手取りにすると月30万円。年収は推定642万円ほどになります。女性の給与は平均月29.2万円で、手取りにすると月23万円。年収は推定464万円になります。単純計算、月60万円ほどで、夫婦2人が暮らしていくイメージです(厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出)。
また夫は正社員、妻は非正社員というパターンだと、女性の給与は平均20.9万円、手取りは月16万円。年収は推定266万円ほどとなり、夫婦2人の生活費は月46万円ほど。それでも十分すぎる金額です。
平均値でみると、どのようなパターンにせよ、余裕のある暮らしが想像できる「子どものいない夫婦」。ただ将来、特に老後を不安視する人は少なくありません。
多くの人が心配する老後資金に関しては、「子どものいない夫婦」は経済的余裕があるので、きちんと資産形成を進めていけば、心配はなさそうです。不安なのは、介護が必要となったときのこと。介護を必要とする人の割合は、加齢とともに増加し、70代前半では5.8%、70代後半では12.7%、80代前半では26.4%、85歳以上で59.8%にのぼります。また認知症の有病率も同様で、70代後半では13.6%だったのが、80代前半では21.8%、80代後半では41.4%と年齢と共に右肩上がり。40代後半の子なし共働き夫婦でも、その30年後くらいから、グンと介護や認知症のリスクが高まります。
このような高齢者を誰が介護するのかというと、配偶者が最も多く23.8%。続くのが「同居する子ども」で20.7%。「同居する子の配偶者」が7.5%(厚生労働省『2019年国民生活基礎調査』より)。「子どもがいない夫婦」ははじめから、通常であれば全体の28%強が頼りにしている「子ども+α」の存在が最初からいないということ。最悪の場合、夫婦ともに介護生活、夫婦ともに認知症、というのもありえる話。そのような状態になっても、頼りにする身内がいない……そんな事態に陥るかもしれないのです。