発達障害やグレーゾーンのお子さんがとる特有の行動に、どのように対処したら良いのか困っている親御さんも多いのではないでしょうか。そのようなお子さんのちょっと困った行動に対する上手な声かけや対処方法を、療育施設や放課後等デイサービスでの勤務経験もある臨床心理士いけやさき先生にお伺いしました。
行動別・発達障害「グレーゾーンの子ども」を伸ばす、8つの言葉がけ&対応のコツ【臨床心理士が解説】

〈ADHD〉行動別 言葉がけ&対応のコツ

 

次にADHDのお子さんに見られがちな行動を取り上げて、それぞれに対する上手な言葉がけや対応方法をご紹介します。

 

1.忘れ物、失くし物が多い

学校で配られたプリントを失くしたり、持ち物を忘れたりすることは小学校入学以降によく見られるお困り行動です。お家では専用の箱などを用意し、「学校でもらったプリントはこの箱に入れてね」と声かけし、失くさないための仕組みを作ってあげることも大切です。忘れ物に関してはチェックリストを作ってあげて、目につきやすい場所に付けるなどのひと工夫を。

 

2.じっとしていられない、動き回ってしまう

座っていなくてはいけない場面で立ち歩いてしまうことなどもADHDの代表的な行動です。ご家庭の場合、食事の時間に顕著に現れます。座っていられない、姿勢が崩れてしまうという行動はASDのお子さんもよく見られます。分かりやすく伝えると共に環境を整えてあげる工夫も必要です。

 

たとえば椅子や床の感触が苦手で長時間座っていられないお子さんの場合は、クッションなどで調整してあげる。テーブルが苦手な場合は、床に座って食べるなど、お子さんにも聞きながら座りやすい環境を作ってあげてください。

言葉かけはお子さんの気持ちに寄り添って

 

未就学児の場合は発達障害の有無に関わらず、大人の話していることやその場のルールの理解が難しい場合があります。話す力も発達段階なので、しっかりと寄り添いながら、お子さんの気持ちを上手に探っていく工夫が必要になります。

 

すべてのお困り行動に共通して、「どうしてOOしないの!?」「ちゃんとOOしなさい!」など一方的に問い詰めたり押し付けたりするような言葉かけや、「パパママがせっかくOOしたのに」などの大人都合の言葉かけはできれば避けた方がいいですね。

 

つい感情的になってしまう気持ちも本当によく分かりますが、できるだけマイルドな言葉かけを心がけてみてください。ただし、飛び出しなどお子さんの身の危険に関わる行動は、しっかりお顔を見て、落ち着いたトーンではっきり話す方が伝わりやすいです。

 

お子さんのお困り行動で悩んでしまった場合は、一人で抱えずに必ず専門家に相談をすることをおすすめします。色々な人を巻き込んで乗り越えることが、親御さんだけではなくお子さんのためにもなると思います。