最近、少しずつ知られるようになってきた子どもの発達障害。お子さんの行動に違和感を抱いたり、他の子との違いを目の当たりにしたりして、「もしかして……」と不安になる親御さんも多いようです。発達障害とはどのような障害なのか、どんな行動が見られるのか、思い当たる節があった場合はどうしたらいいのか。こころのソムリエとして子育てママを応援する臨床心理士、しか先生にお話を伺いました。
これって、発達障害?「ADHD」「ASD」チェックリスト【臨床心理士が解説】

発達障害は大きな個性

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発達障害には「障害」という言葉がついているので、場合によっては「ドキッ」とされてしまう親御さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、人によって得意・不得意があることと同じように、その子の生まれ持った大きな個性の一つと考えていただけると良いと思います。

 

原因についてはまだ研究されている途中ですが、脳の前頭前野の働きがほかの人とは少し違うのではないかと考えられています。つまり、コミュニケーションや行動などの機能にアンバランスさがあり、得意不得意の偏りがあるというイメージです。

発達障害は特性によって3種類に分けられる

発達障害は「注意欠如/多動性障害(ADHD)」「自閉スペクトラム症(ASD)」「学習障害(LD)」の3つに分類することができます。

 

ADHDの大きな特徴として、多動性、不注意、衝動性の3つがあげられます。じっとしていることが苦手だったり、考える前にサッと行動をしてしまうなど、行動面に特性が表れやすいのが特徴です。

 

それに対してASDは社会性の課題につながる特性が多く、人とうまくコミュニケーションが取れなかったり、一つの物事へのこだわりが強すぎたりする傾向があります。

 

LDは知的な遅れはないのに聞く、話す、読む、書く、計算する、または推論する力などの内、特定のものの習得が苦手な状態のことを言います。全般的な知能の発達に遅れはありませんが、一部の能力だけが他に比べて苦手でアンバランスさが特徴的です。

 

「注意欠如/多動性障害(ADHD)」の行動チェックリスト

注意欠如/多動性障害(ADHD)のお子さんによく見られる行動には次のようなものがあります。ADHDの特性は、保育園や幼稚園などの集団に入ってからよく目立つようになってきます。

 

1 座っていなくてはいけない時に席を離れてしまう。

2 じっとする場面で動き回ってしまう。

3 指示に従って何かを最後までやることが苦手。

4 駆り立てられるように行動してしまう。

5 過度に話し過ぎてしまう。

6 順番を待つことが苦手。

7 質問が終わる前に出し抜けに答えてしまう。

 

「自閉スペクトラム症(ASD)」の行動チェックリスト

自閉スペクトラム症(ASD)のお子さんによく見られる行動には次のようなものがあります。ASDの特性は、乳幼児期から現れることも多く、お住まいの地域で行なわれている健診などで指摘をされるケースもあります。

 

1 後追いをしない。

2 あやしても顔を見ない。目線が合いにくい。

3 ごっこ遊びをしない。

4 友達と遊ぶより一人遊びを好む。

5 1つのことに過度に集中したり、こだわったりする。

6 いつもと違うことが苦手。

7 興味関心の幅がせまい。

 

学齢期からは「学習障害(LD)」にも注意

学習障害(LD)は、本格的な学習が始まる小学校入学以降に特性が表れやすくなります。LDの中には、様々なタイプがあり、文字を読む力に課題がある「読字障害」、文字や文章を書くのが困難な「書字障害」、計算が苦手な「算数障害」があります。

 

小学校入学以降によく見られる例としては、マス目の中に文字を書くことができない、文章の途中でどこを読んでいるのか分からなくなる、先生が書いた黒板の文字を書き写すことができない、計算を身につけることができない、などがあげられます。