(※写真はイメージです/PIXTA)

一貫して増加を続ける日本の空き家数。その大半は「相続」によって発生しています。相続によって実家を取得すると、遠方に暮らしていて事実上の管理が難しかったとしても、所有者としての責務が発生するため我関せず、というわけにはいきません。では「放置空き家」を生み出さないために、どのような対策が有効なのでしょうか。

「台風で屋根瓦が吹き飛ばされ…」空き家を相続すると

空き家となった実家は、相続によって子どもの所有となります。所有者となった以上、たとえ遠方に暮らしているなどの理由で事実上の管理が難しかったとしても、空き家所有者としての責務が発生することに注意が必要です。「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」という法律には次のように規定されています。

 

【空家特措法第3条】

 

空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。

 

我関せず、というわけにはいかないということです。

 

定期的な見回りや管理を行わなければなりません。立ち木や雑草を除去したり、ゴミなどの不法投棄がなされていないかの確認、崩落や倒壊の危険がないかのチェックも必要です。万が一、空き家が原因で近隣住民などの第三者に損害を与えた場合、所有者は損害賠償責任を追及される可能性もあります。民法には以下のような規定があります。

 

【民法第717条第1項】

 

土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

 

昨今の日本は、毎年のように台風や地震、豪雪などの大きな自然災害に見舞われています。

 

「強風で屋根瓦が吹き飛ばされ、隣家の窓ガラスを割ってしまった」「地震で壁が崩落し、近隣住民が怪我をした」

 

たとえこのように自然災害が原因で損害が生じたとしても、空き家の管理状態によっては損害賠償を請求される可能性があるということです。

 

とはいえ、都市部で生活する子どもが、空き家となった地方の実家を満足に管理することはなかなか難しいのが現実です。固定資産税や保険料、光熱費・水道料金などの費用負担も軽くありません。したがって大切なのは、このような放置空き家を生み出さないことです。

 

 

佐藤 良久

GSRコンサルティング株式会社 代表取締役

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『そうだったのか! 相続のトリセツ』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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